『トルコ三大文明展』@東京都美術館

34度という猛暑のなか『トルコ三大文明展』を見に行った.いやもう、覚悟はしてたけどすごい人人人.展示品を見るどころかまっすぐ歩くことすらできません.そんな状態で何を見ろと……

世界史で習った懐かしい名前をちらほら確認しつつほぼ時代順に展示された物を人の隙間から覗き見る.最初のころの動物をかたどった容器はあまり見たことのないデザインでおもしろかった.ほかにも古代のもので目新しい展示品がいくつかあった.この時代のものって実はあんまり紹介されたことがないのかな?それとも私が無知なだけ?ルーブル大英博物館あたりでも見かけなかった気がするんだけど.
ここのところNHKが力を入れて紹介してたのは国立博物館でやってるアレキサンドロス大王展のほうだったのか.あれを見て日本の仏像が見られると勘違いしてしまった.こっちは純粋にトルコの文明展だったのね.
最上階に上がったところでなぜこんなに人が多いのかその理由がわかった.宝石だっ!もうね、獲物に群がるハイエナのようにみんなの目の色が変わってて怖かった.ポスターにも使われてる短剣のエメラルドが尋常でない大きさで、その展示ボックスの前だけは警備員がちゃんと立ってるの.「混んでますから立ち止まらないで!」って係員も叫んでるし、人垣は耐えないしで半径数メートルは殺気だった雰囲気が充満してて近寄れなかった.怖い怖い.
そこに並んでる宝石でこれでもかと飾り立てられた剣や食器などを見ると当時のトルコ人の美意識が良くわかる.オスマントルコの宮殿って世界で一番きらびやかだったんじゃないのか.あの装飾過多&宝石好きはヨーロッパとはまた違う.
「ああ、理解できん」と一番思ったのは陶磁器のコーナー.見るからにすばらしい出来の白磁青磁がへんてこな金+宝石の蓋付けられたりして無残な姿に変わり果ててた.あれがなければどれほどか美しい作品だっただろうにって不憫になってしまった.もっともさすが中国というか、景徳鎮あたりではトルコ風にアレンジした作品をしっかり作って輸出してたわけだけどね.まあ、当時のトルコ人にとってはあのシンプルな美しさというのは逆にびんぼー臭くてかなわんってとこだったんでしょう.ありきたりな感想だけど、美の定義なんてほんと流動的だよなあ.

次はアレクサンドロス展にいって毘沙門天を見るんだい!こちらは午後8時まで観覧可能な金曜日を狙うつもり.