松本大洋『ピンポン』

ピンポン (1) (Big spirits comics special)
映画を見たのをきっかけに松本大洋『ピンポン』を読みました.
原作を読んでしまうと映画は涙なくして見れないかも.大倉君がインタビューで「原作4巻5巻は泣きっぱなし」と答えていたのが映画だけでは理解できなかったけど、原作読んで納得です.ペコとスマイルの対戦が実現するまでの2人の間の距離を考えると、スマイルの呟く「おかえりヒーロー」という言葉がいかに重いことか!ペコの「すっ飛ばしてやってきたんよ」にどれほどの意味が詰まっていることか!最後のスマイルの涙で、彼がどれほどペコを待っていたのかが痛いほど伝わってきた.この作品って「スマイル、良かったね〜」ってしみじみすればいいんだよね.原作ではペコ、スマイル、アクマという3人の幼馴染みの関わりあい方とそれぞれの生き方の対比がすごく上手く描かれていて、この3人を追っているだけでも十分楽しめた.線が特徴的な絵柄も好きです.原作と映画ではどのキャラクターも少しずつ性格が違ってるのね.特にドラゴンが別人かと思うくらい映画の印象と違って驚いた.ペコも意外なほど苦労人じゃん.もっと能天気なのほほん野郎かと思ってたのに違ったわ.スマイルも映画ほどナイーブな印象無し.でもあの不器用は性格はハラハラさせられて目が離せません.映画では圧倒的にスマイルが気になったけど、原作ではペコとスマイルの両方がよかった.映画は映画で原作の雰囲気を壊さず、さらにスーパーカーの音楽とCGでうまく味付けしてたと思う.どちらも好きな作品です.