蜷川幸雄演出『新・近松心中物語』

作：秋元松代　演出：蜷川幸雄
音楽：宇崎竜童　歌：森山良子
衣装：辻村寿三郎
出演：阿部寛、寺島しのぶ、田辺誠一、須藤理彩
2004年4月23日＠東京日生劇場

田辺誠一がとにかく素晴らしい．カエルのおもちゃにしか見えない飛びっぷりをクライマックスに、優柔不断で意気地がなくて、でもひたすら優しいダメ男を魅力たっぷりに演じてた．対する須藤理彩も恋するお転婆なお嬢様を愛嬌たっぷりに演じていてとっても魅力的．この2人があまりに良かったから、本筋のアベちゃんとしのぶ姉さんの梅川忠兵衛が付け足しのように見えてきてしまった．
客の金に手をつけてしまうシーンは歌舞伎の方が出来がいい．はっつぁんの憎まれ口に我慢に我慢を重ねた忠兵衛がとうとう封印を切ってしまう緊張感をあまり感じなかった．というより忠兵衛が封印切って初めて「あれ？今ってその場面だったの？」って思ったくらいだもん．アベちゃんの忠兵衛がねえ、どうも堅苦しくかつ暑苦しい．上方のお坊ちゃんのジャラジャラした感じがなかったのは、そういう演じ方を敢えてしなかったからなのか．ああも泣き喚く梅川というのも不思議だったなー．現代劇風にするとやはりヨヨと泣いてるわけにもいかないか．