宮部みゆき『ぼんくら』

ぼんくら(上) (講談社文庫)

ぼんくら(上) (講談社文庫)

ぼんくら(下) (講談社文庫)

ぼんくら(下) (講談社文庫)

実家から送られてきた荷物に入ってたので読んだ.
宮部さんの時代物はおもしろいなー.
茂七親分がすっかりご隠居になってたのが寂しいけれど、茂七の世界とリンクしてることで一気に親近感が沸いた.
最初は1話完結物かと思ってたのに、実は全ての話が「長い影」に繋がる伏線になっていて、終わってみれば一つの長編ミステリーになっていた.
ストンと落ちたほうが気持ちがいいのだろうけれど、そうはさせない結末がが宮部さんらしい.人の生き方なんて千差万別、何が正しいかなんてちょっと立場が変われば変わるもの.平四郎の言葉が総右衛門に通じなくてもしょうがない.お互いにお互いの世界で信じる道をいくしかないんだから.
とはいえ、佐吉びいきとしたら実の母親を誤解したままなのは可哀想だと思ったけれど、最後の短編で葵の実像を垣間見せてくれたことで救われた.総右衛門の行動もあながち佐吉にとっては悪くはなかったのかもね.
これも金曜時代劇あたりでドラマ化してくれないかしら.おもしろい人物のオンパレードでいけると思う.
弓之助は旬な神木君でどうでしょう.佐吉は私の脳内ではすっかり月代姿の山本耕史に変換されました.
平四郎は堤真一ってのはダメですか.年齢的な問題はあれど堤さんはああいうぐうたら感漂う役はかなりはまると思うので.内藤剛志でもいいんだけど一応男の色気はあったほうが良さそうな雰囲気だったので堤さん一押し.