勝海舟『氷川清話』

氷川清話 (講談社学術文庫)

氷川清話 (講談社学術文庫)

現在に応ずるのみ
世間の人はやゝもすると、芳を千載に遺すとか、臭を万世に流すとかいつて、それを出処進退の標準にするが、そんなけちな了見で何が出来るものか。男児世に処する、たゞ誠意正心をもつて現在に応ずるだけの事さ。あてにもならない後世の歴史が、狂といはうが、賊といはうが、そんな事は構ふものか。要するに、処世の秘訣は誠の一字だ

最後の文章です.電車の中で感動のあまり泣きそうになった.やっべー.
やっぱりね、この時期に「誠の一字」とか言われちゃうとどうしても新選組!の彼らを思い出し、そして最終話の勝さんも思い出し、両方ともが誠の気持ちでいたんだなーってつらつら思いをめぐらすとぐっとこみ上げるものもあるってものですよ.


物凄く面白い.本当に面白い.
同じことを繰り返す癖はあるものの、自分の言動に絶対の責任を持つという潔さが発言の全てに感じられる.世の中を見る視点の確かさにも驚く.そして言ってることの一つ一つが今の政治に置き換えても全然支障がないというのが凄い.
頭が切れるけれど頭でっかちな理論家じゃなくてグダグダ言うくらいなら行動しろ!っていう有言実行を地で行く人なので、得意な様子で自慢話をされても全然気にならないの.絶対に奇麗事を言わないこと、理想だけを追わないところ、政治と経済活動を必ず一緒に考えていること、上よりも下を見ること、とにかく政治家としての資質が素晴らしい.
今の政治家全員に「これを読め」って突きつけたくなった.