メリメ怪奇小説選 岩波文庫

メリメ怪奇小説選 (岩波文庫 赤 534-4)

メリメ怪奇小説選 (岩波文庫 赤 534-4)

遥か昔に買って積読状態になってたのをようやく読んだ.
ドン・ファン異聞、ヴィーナスの殺人、熊男の3篇.
どれもおもしろくてさくっと読めた.メリメという名前に敬遠していたのが
ドン・ファン異聞だけは怪奇小説というより伝説を別の側面から捉えた作品に近い.
『ヴィーナスの殺人』はローマ時代のヴィーナス像に圧死させられた男の話.それに似た伝説って古代神話あたりになかったかしら.もっとも私が思い出したのは中世の拷問だけど.この作品にしても『熊男』にしても、読者に対してはっきりと誰が殺したのかを明示せずあやふやなまま終わっているので、いやがおうにも後から考えてしまう.じわじわと余韻がやってくるそんな作品でした.