徳川慶朝『徳川慶喜家にようこそ―わが家に伝わる愛すべき「最後の将軍」の横顔』

徳川慶喜のひ孫である慶朝氏のエッセー的な文章集です.
徳川将軍家の直系であるというのはどういうことなんだろうなあってゴシップ的な興味はもちろんある.そういう今の時代に徳川という苗字で生活することの特殊性の描写ももちろん少しはあるけれど、身内からの視点で捕らえた慶喜という内容が多くあった.慶喜というと最近は鳥羽伏見の戦いで江戸に戻ってしまったことが思い出されてどうしても斜めな見方をしてしまうけれども、大局から見た場合はどういう評価になっているんだろう.ここのところの大河でようやく少しは幕末史に興味が出てきたものの、根本的に幕末明治期にはまったく惹かれなかったので基本的な知識がない.比較的現代から遠くなく記録はもちろん当事者の関係者がまだ当時の出来事を歴史の1ページとして処理できてない頃のことだけに、見方が違えば人の印象もガラッと変わってしまう.それがきっと幕末好きにはたまらないところなんだろう.でもちょっとかじるには難しすぎます.
慶朝氏の母親は会津松平家の出身で、当時はやはり徳川慶喜の孫に松平家のお姫様が嫁ぐというのは感慨深いものがあったらしいけれど、慶朝氏にはあまりピンとこない話なんだとか.そういうものなのかしらね.