トーマス・マン『マリオと魔術師』

マリオと魔術師―他一篇 (角川文庫)

マリオと魔術師―他一篇 (角川文庫)

ドイツ文学かあ.振り返ってみると実はほとんど読んでないことに気づく.
そのせいかどういうスタンスで捉えればいいのかよくわからん.
ドイツ文学の特徴は私小説なんだって.この場合の私小説というのは「わたくし小説」であって、作家自身を反映したものではなく「私」という一人称で語られる小説のこと.
この本に収録されている『マリオと魔術師』ももう一編も確かに私小説だった.社会を描くというよりはもっと閉じた非常に個人的な世界を描いているのが特徴か.しかもあっけらかんとしてるくせにとっても暗い.かつ不条理.もしかして日本の明治期あたりの小説はこのあたりのドイツ文学の影響が強いのかしら.日本文学史には疎いので実際のところはよくわからないけど、なんとなく雰囲気が似てる気がした.
嫌いじゃないけどフランスやロシアとかの大河小説のほうがわくわくしながら読めるな.