いとうせいこう・みうらじゅん『見仏記』

見仏記 (角川文庫)

見仏記 (角川文庫)

久しぶりに初心にかえって読み返してみた.固い!固いよ、いとうさん!
今から10年以上前、いとうさんが32歳の頃だからまだ文章に気負いがあって説明的になりがち.でもその説明的ないとうさんの思索のおかげで、自分がいかにみうらさん寄りかということを認識した.見えてるものが全てという認識の仕方がとても近い.
初巻ということもあって有名寺院&有名仏像が目白押し.かといって京都・奈良といった仏像メッカだけに特化するわけでもなく、東北から九州まで網羅してるのがさすが雑誌の企画といったところか.
ここで訪問されている京都奈良のお寺はほぼ全部行ったことがある.九州も観世音寺には行った.おかげで読みながらまざまざとお寺の様子や仏像の姿がよみがえってきて見物魂を刺激されてしまった.比較的仏像の姿や特徴を表現しその場の雰囲気や背景を辿ろうとする傾向が強いいとうさんの文章の中に突如独特のみうらワールドが登場するので、一粒で二度おいしいとでも言いましょうか、同じ世界を二つの切り口で楽しめます.
この本の中で未知なのは東北地方のお寺.東北にも行ってみたいなあ.ただお寺巡りってただでさえ足を確保するのがとても大変なのに、東北なんていったら車がないと難しそう.連れが確保さえできればレンタカーでも借りて行くところだけど、さすがに妹以外で寺巡り旅行に行きたいなんて人はそうそういないからさあ.私達の寺巡りといったら食事する間も惜しんで(たいてい車の中でコンビニランチ)ひたすら寺から寺へと回るだけだから好きな人以外は悪くてとてもじゃないけど誘えない.