みうらじゅん&いとうせいこう『TV見仏記6』

2月に京都テレビで放送されたもの.TV見仏記では最新の番組です.

PART1 舞鶴宮津の仏

金剛院
2人も大感激していた快慶作重文「神沙大将像」が素晴らしい.あの顔はちょっと他に見ない.
膝上になんと象の顔がある.象の衣装ではなく象の口から足が出てるんだって.その発想はどこから出たんだ.メドゥーサみたいな髪の毛も珍しい.
同じく快慶作の重文執金剛神は甲冑をまとった姿が東大寺三月堂の執金剛神像に近い.この甲冑をまとった執金剛神像というのは全国でもこの二体くらいしか例がないらしい.
あれ?でも一回国立博物館の展示でこの手のタイプの仏像見たことあるよ.三月堂の像をモデルにしたという小さめの像だったけど、もしかしてこれが来てたとか?
……検索……
やっぱり私が見たのはこの仏像だったらしい(id:kogame:20030919)
重文増長天.コアラみたいな邪鬼は思わず噴き出す愛らしさ.
重文阿弥陀如来像、重文多聞天、真っ赤な重文金剛立像


円隆寺
阿弥陀、釈迦、薬師の本尊として存在するのは全国でここだけらしい.
丈六の如来像はすべて定朝作で重文指定がされている.見下ろされてる目がまさに定朝.
薬師如来の隣にはなかなか見られない定朝作不動明王という珍しい像もあった.不動らしく直立不動で、節分の赤鬼って雰囲気だ.
鎌倉時代毘沙門天はまん丸の白い顔が子供のようで可愛らしい.
10名以上で予約しないと見られないらしい.ちぇっ.


智恩寺
天橋立文殊菩薩は日本三台文殊の一つだとか.一つは安倍文殊院、もう一つはどこだろう.
……またまた検索……
うーん、諸説あるのかしら.結果が一致しない.
京都府・天の橋立切戸の文殊山形県・奥州亀岡の文殊奈良県桜井市安倍文殊院ってことでいいのかな.天の橋立含めぜひ行ってみたいけど、京都の日本海側となるとさすがに遠いなあ.
秘仏と書いてあったから行ったところで見れるかどうか怪しいね.
秘仏なだけにお厨子に入ってます.獅子に乗ってるのでもちろん全体は大きいのですが像そのものはそれほど大きいものではなさそう.


多宝塔の8匹の猪が円陣を組んだ上に座る摩利支天像が凄い、.彩色も鮮やかな三面阿修羅の顔や六臂の身体も異形ではあるものの、下にいる赤い猪のインパクトには負ける.
三門の上には薬師如来三尊像と表情豊かな十六羅漢像が安置されていた.


股からのぞく人形を必死になって探してるみうらさんに業を見た.

PART2『西陣の仏』

京都の街中にある珍しい仏像巡りです.
最初は千本えんま堂の巨大な閻魔様です.閻魔タイプの造形はあまり興味がわかないのは、平安貴族のような衣装のせいかも.

  • 司録尊像:地獄の住民登録担当.筆持ってます.
  • 閻魔像:一見すると玉眼に見える目は琥珀だそうだ.黄色の目が
  • 司命尊像(共生神):閻魔帳を手に持った像.人が生まれた時にどこかの毛穴から入り込んで人の一生を全て閻魔帳に書き込む係.

焼香しようとして燃えてる灰のほうを掴もうとしたみうらさん.そりゃなかろう.


智恵光院
六臂の地藏なんて初めて見た.それぞれの手に宝珠などが握られてます.明らかに仏像を美術品としてみているので、丸坊主で装飾も少ない地藏にはほとんど興味がない.でもこのくらいインパクトのある地藏だったら見てみたい.顔そのものは下膨れ気味で厳しい表情をしていて装飾的ではないのだけれど、衣の彩色がしっかり残ってるところや金色に輝くゴージャスな天蓋が凄い.こんな天蓋に囲まれた地蔵なんて他にないんじゃないか.回りに飛天は飛ぶわ六対の平安美人的な顔のミニ地蔵が立ってるわでなんともにぎやかです.
ちっちゃーい


雨宝院
密教の香りが色濃く残るお寺です.まるで密室のような暗い部屋の中で護摩を焚いてるところを想像するといきなり平安時代が迫ってくるみたい.
荼き[木へんに只]尼天(=稲荷信仰)やら歓喜天(ここの歓喜天は男性だけの単身天だそうだ)やら珍しい像があるものの当然のごとく秘仏です.特に歓喜天は絶対秘仏で案内のお坊さんもまだ見たことがなく、現在のご住職も一度足だけを拝んだことがあるらしい.
護摩によって黒光りする不動明王愛染明王役行者青面金剛立像(庚申)、弘法大師像などが続々と登場.
観音堂には重文十一面観音像あり.顔立ちやみっちり張った体つきが聖林寺系の美しい観音像だ.


平等寺因幡堂)
このお寺の三面六臂大黒様のかっこいいことったらなかった.これはインドです.インドの神様です.愛染明王に近い迫力と色気のある大黒様です.念持仏にもなりそうな小ぶりのサイズもいい.なんと二本の腕で象の皮を担いでます.1本の手で人間の髻をつかみ、もう片方の手で今はなくなってはいるものの羊かヤギの頭を下げ、そして正面の二本で刀(だと思う)を持っているという不思議な像です.胸には髑髏を下げ、三面の頭にもまた髑髏がついてます.かーっこいいー!!
そのほか、毘沙門天不動明王などが安置されていた.
本堂には十二神将が雛壇に綺麗に配置されていたけれど、残念ながらご本尊は収蔵庫に入ってしまっているそうだ.この収蔵庫は今年4月から500円で拝観可能らしい.
ご本尊は重文薬師如来立像.不思議な被り物をした薬師.災害の際にもすぐに持ち出せるような工夫が昔からなされていたらしい.
あっさりした造形の重文如意輪観音と清涼寺式の重文釈迦如来立像あり.
観音堂のには双子のようにペアで十一面観音像が安置されていた.隣の如意輪観音像がいい.頬に置く腕や指がなんともやわらかくてなんとも色っぽい.
ふくよかな役行者と東寺タイプの不動明王あり.