ラスト・ファイヴ・イヤーズ@リリオホール

【作】ジェイソン・ロバート・ブラウン
【演出】鈴木勝秀
【出演】山本耕史 Nao

亀有行ってきました.10列より前のセンターブロックでかなり見やすく良い席でした.
亀有という土地柄のせいかかなりご年配の方やご夫婦連れも多く見られた.

ホールが違ってよくなったところ

  • 楽器がステージ下手にかなり見えるように配置されていた.同時にシアターXでは舞台全体を覆っていたセットが、ステージが大きくなったことにより舞台の中に浮かんでいるようで、より「舞台」っぽい印象を与えていた.楽器と舞台の中に枠ブチのように置かれたセットのほうが、この2人がこの演出でやるこの芝居にはあっていると思った.「あくまでこれは舞台ですよ」というメッセージを常に感じられた方が安心して見ていられた.シアターXは舞台と密接すぎて落ち着かない.まあ、ぶっちゃけNaoちゃんのアラがこのくらいの方が隠れて良かったってことです.
  • 音響のバランス.シアターXであのヘッドセットのマイクでは音量が大きすぎたけれど、このくらいのホールではちょうどよいバランスで聞こえて来た.

ということで、多少大きめなホールでどうなることかと心配だったけど、私はこの規模のホールのほうが気に入った.さすがに大阪の会場くらい大きいとやはり心配だけど.

山本ジェイミー

  • バク転してた.八百屋なのに.コワッ.怪我しないように気をつけて.
  • High Cの部分は声の出し方を工夫したのね.
  • バンドの方へ飛ばした紙飛行機が綺麗に袖に消えていって、バンドに向けて親指たててた
  • 『The Nex Ten Minutes』でワンフレーズだけ英語詩の "for the next ten minutes" と歌ってた.
  • 歌詞の疑問.A Miracle Would Happen』で"電話が終われば"とかって歌ってたけど、今までって"電話が鳴ったら"とかって歌ってなかった?あと『If I Didn't Believe In You』で“僕の成功が君を傷つける”って歌詞、今まであった?多分"I will not lose because you can't win"ってあるからあったんだろうな.あー、いかに今までボーッと聴いてたかがわかる.
  • 『If I Didn't Believe In You』冒頭の台詞の部分、マイクがOFFになってたように思ったけど気のせい?
  • 『Nobody Needs To Know』今日はかなり泣きが入ってる歌い方だった.声が震えて歌えなくなりそうになる部分もあり.

Naoキャサリン

  • 前半部分はかなり良くなってた.ただし後半若返る部分が厳しい.ふと思ったんだけど、後半よりバタバタしてきて目のやり場に困ってくるのは、もしかして「若さ」の表現だったりするんだろうか.声の出し方も変えてるよね.後半は甘えっぷりが激しい.前半はもっと落ち着いた声を出してた.あの舌足らずな感じはちょっとどうかと思う.
  • 声のレンジが狭い.本人が出しやすい音域のところは安心して聴けるのに、ちょっとでも外れるともう一杯一杯になっちゃう.自分が得意な部分以外の引き出しが少ないんだろうな.
  • へんてこな振り付けは大きなホールだと良くも悪くも拡散されてシアターⅩより気にならなかった.

感想

今日が最後でした.帰る時あちらこちらから「ストーリーがわからない」「意味がわからない」という言葉が聞こえて来た.シアターⅩと違う客層がこんな感想からも伺える.


何度か見てつらつら思うに、この作品はもっぱら凝った構成が強調されていて、なんとなくその構成を理解しないといけないような気分に陥ってたんじゃないか.そうじゃなくて、何度も山本君やNaoちゃんが言ってるように楽曲自体がいいんだから、意味がよくわからなくても歌の素晴らしさや2人のかもし出す雰囲気に酔い「なんだかわかんないけどいいもん見た」って劇場を後にできればいい芝居なんじゃないかって.
で、じゃあ今回そういう舞台になってたかっていうと、残念ながらそこまではいってなかったように思う.その結果が上のような感想につながるんじゃないか.


確かに山本君を見てると一つ一つの曲にちゃんとカラーがあって、テンポの速いハードな歌から静かなバラードへ遷移していくのと対照的に、感情の面では徐々にこちらの気持ちを高揚させてくれる.もちろん山本君もあまりに同じ動きの繰り返しが多かったり、もう少し艶のある声で歌って欲しい曲があったりと手放しで満足というわけではないけれど、彼個人だけを取り出せば十分魅力的なジェイミーを作ってくれていた.
ただそこに交互に絡んでくるのがNaoちゃんのあの歌と演技だから、三歩進んで二歩下がるじゃないけれど、せっかく高揚した気持ちがまた下がってしまう.
芝居って1人で出来るものではないし、役者同士がぶつかることで期待できる相乗効果の力もかなり大きいと思う.その意味で今回の2人にはそういう相性の良さのようなものが感じられなかった.構成のせいもあるとは思うけれど、どうも2人がバラバラに演技してるように思えてしょうがなかった.
こういうどちらも同じ比重を背負う2人芝居だと、その2人の実力が均等でないとアンバランスさを感じざるを得ない.
まあ、このあたりは役者だけでなく演出の責任も大きいとは思う.演出で何とか2人の差を縮めることはできなかったものか.

最後に愚痴

今日は舞台を集中して見るには本当に良い席だった.
が、隣の人が結婚の歌あたりから泣き出して、まあ、泣くこと自体に文句はありません.どこでどう泣こうがそれは本人の勝手だし私が口出すことではないし、レミコンで1曲目から泣いてたお隣さんにも出会ったことがあります.

が、泣くなら静かに泣いてください(切実)

鼻水をすすらないでください.あれは確実にノイズです.お喋りと同じです.
そして鼻をすする人は例外なく定期的にすすって舞台の音を壊してくれます.
特に今回は音楽なんです.歌なんです.なんで歌の途中に鼻水をすする音をもれなく聞かなくちゃいけないんだ.どうしてハンカチもティッシュも持ってないんだ.
一応途中からは気を使って音が大きくなった時を狙ってすすってたようですが、意味ないです.ちゃんと聞こえます.音が大きいから油断するのか鼻をすする音まで大きくなってます.
ここは人によって違うと思うけれども、私は延々鼻をすすられるくらいなら一度思い切って鼻をかんでほしい.一回かめばかなりの時間が稼げるから.


幸いにも私の友人達は皆言われて初めて泣いてることに気づくくらい静かに泣いてくれます.鼻もすすりません.私ももちろん泣く時は目が真っ赤になるまで泣きます.でも絶対に鼻はすすりません.


そんな神経質なって思われるかもしれないけれど、「音」は本当に舞台の邪魔になるのでなんとか考慮してもらいたいものです.