七月歌舞伎『十二夜』夜の部@歌舞伎座

作:シェイクスピア 小田島雄志訳より今井豊茂脚本
演出:蜷川幸雄
装置:金子勇一郎
照明:原田保


主膳之助/獅子丸実は琵琶姫 : 尾上菊之助
織笛姫 : 中村時蔵
大篠左大臣 : 中村信二郎
安藤英竹 : 尾上松緑
麻阿 : 市川亀治郎
役人頭 : 坂東亀三郎
従者久利男 : 尾上松也
海斗鳩兵衛 : 河原崎権十郎
従者幡太 : 坂東秀調
比叡庵五郎 : 市川團蔵
舟長磯右衛門 : 市川段四郎
左大弁洞院鍾道 : 市川左團次
丸尾坊太夫捨助 : 尾上菊五郎

楽日ということで蜷川さんがいらしてました.てっきりニューヨークにいるのだとばかり思ってたからびっくり.元気なお方ですね〜.ロビーで大竹しのぶと歓談中でした.


2回目ということでいろいろ感じたことはあったものの、なんだかんだ言っても最後の幕は楽しい.菊五郎さんのお遊びを期待して楽日を取った身としては、黄色いヘルメットをかぶって出てきてくれただけで超満足.菊ちゃんも時蔵さんもやばかったけど、團蔵さんは肩を揺らして我慢してたものの台詞は震えるわ吹き出すわで一番の被害者になってた.


最後は菊五郎さんに連れられた蜷川さんが花道から登場してのカーテンコールあり.あの幕切れだとカーテンコールあって当然って雰囲気なのか拍手がやまなかった.結局緞帳が下りても拍手がやまずに再度カーテンコール.歌舞伎には通常カーテンコールがないので、どこで席をたっていいものやら悩んでしまった.


前回は1階4列目、今回は3階5列目とまったく違う場所からの観劇となった.鏡のセットは上から見たほうが楽しいのかなって想像してたけど、実際に3階に座ってみると1階のほうが鏡が大きく見えて効果的だったように思う.ただ暗転の時に客席のライトがボーっと移りこむ景色は3階でないとわからなかった.オレンジの光が綺麗だった.
思ったより花道使用が少ないね.菊五郎さんの捨助なんて絶対花道行くだろうって期待したら袖に向かっちゃうんだもん.早代わりがあるからしょうがないのかなあ.


1回目は原作をこう持ってきたんだ、こう変えたんだって台詞を追うのも楽しくてあっという間に終わってしまった印象が強い.2回目だと多少冗長に感じてしまった.シェイクスピアなだけに理屈臭いのはしょうがない.ただ歌舞伎に移した時点でもう少しすっきりさせても良かったんじゃないか.とにかくひっきりなしに役者が長台詞を喋ってる印象が強い.歌舞伎として見ると内面を語りすぎじゃーって思っちゃう(シェイクスピアだから当たり前であえて突っ込むところではないのですが…).脚本をもう少し練り直したバージョンを見てみたい.
あ、あと初めて獅子丸が織笛姫を訪れる場面がとてもわかりづらい.獅子丸が誰に向けて喋ってるのかいまいちはっきりしないから、主従入れ替わりの面白みが半減してるように思った.


いろんな謎が一気に解けて大団円に向かう三幕目は、ちょっとした普通の台詞でも笑いを誘っていて会場中がわくわくしながら見ている雰囲気が伝わってきた.やってる役者も楽しいだろうな〜.
時蔵さんの真面目にやってるのにおかしいという不思議なオーラが好きなので、今回の織笛姫は堪能させていただきました.可愛らしいおトボケお姫様でした.
亀治郎は小技のわかりづらい遠くからでも十分おもしろかった.
松緑は遠目からのほうが良かった.逆に菊ちゃんは近くで見たほうが良かった.男と女の切り替えがもう少しめりはり効いてたと思うけど、遠くからだとちょっとボケちゃったかな.なにはともあれ新しい試み、お疲れさまでした.