Memoirs of a Geisha

Memoirs Of A Geisha

Memoirs Of A Geisha

これっぽっちも話の内容を知らなかったので、冒頭から続く「おしん!?」とでも言いたくなるような出来事の連続に放り出そうかと思った.てっきり美貌と芸でトップに上り詰めた芸者の勝利者物語だと思ってたんだもん(最後はNYで悠々自適生活ってのもなんだかなー).なのにこの悲惨な描写は何事ですか.イジメも凄いしさ〜.人ってここまで残酷になれるもの?って引いてしまった.
次どうなるんだろうという興味は一貫して持つことが出来るので物語の転がし方は上手いんでしょう.ただいつまでたっても主人公のSayuriが魅力的に見えない.「なんだこいつ」とずーっと思いながら読んでしまった.いつの間にか人気芸者になって、ご贔屓のNobuには「他の芸者と違う」とことあるごとに言われてるんだけど、灰色の目を持ってること以外彼女のどこがそんなに魅力的なのかよくわかんなかったな.
後書きを読むと当時の芸者の生活や現在の祇園の様子などを細かく取材しているようなので、それほど現実と乖離してるものでもないのかしら.だとしたらあの当時の「芸者の生き方・考え方」というのが私には非常に馴染み辛いものだった.置屋の主人の言いなりで旦那を選ぶのにも自分の意志などどこにもなくて、それでも良い旦那を得ることになんの疑問もなくて、SayuriはChairmanに対するこだわりだけは持っているけど、そこと関係のない生活についてはまったく無関心に見える.葛藤が無い.そういうものかしらねえ.
SayuriよりもMamehaやPumpkin、Hatsumomoといったその他の芸者のほうがちゃんと顔が見えた.Sayuriは主人公なんだけれども、どうにものっぺらぼう見えちゃう.
最後の数十ページでいきなりの大どんでん返しが来るのも驚いた.だったらもう少し前からChairmanの描写もいれてくれたら親切なのにな.Nobuばかりフューチャーされて肝心のChairmanはまさに黒い影しか見えない足長おじさんだった.
これ、映画おもしろいのかなあ.
チャン・ツィイーだから見たいんだけど、いまひとつ不安が…