三島由紀夫『近代能楽集』

近代能楽集 (新潮文庫)

近代能楽集 (新潮文庫)

能を元ネタにした作品が並んでいます.どれもおもしろいですが、特に『邯鄲』『綾の鼓』『道成寺』『弱法師』あたりが好きです.
三島の持つ生と死と若さへのパラノイア的執着は時に非常にうっとおしい.が、そのうっとおしさが演劇の世界とは相性が良い.エロスと美と滅びに溢れた作品の数々は、板の上で役者が発しているのを容易に想像させる言葉で溢れていた.