九月大歌舞伎 夜の部

一、 平家蟹(へいけがに)

官女玉蟲:芝翫 妹玉琴:魁春 おしお:吉之丞 那須与五郎:橋之助 僧雨月:左團次

冒頭、いきなり映像にかぶせて白石加代子さんのナレーションが始まります.「平家の方々」うんぬんって、まさに今の大河じゃないですか.岡本綺堂作らしく伝奇的な着想がおもしろく、わらわらと出てくる人の顔くらいありそうな蟹たちや、最後の大海原へ沈んでいく大道具も良かったのに、ああ、それなのに.日々の寝不足に打ち勝つことが出来ませんでした.ずーっと客席も暗いんだもん(八つ当たり).
芝翫さんも良かったのにな…
でもって、あまり橋之助の舞台を見たことがないので、途中まで信二郎さんかと思ってた.遠目からだと面長な顔立ちが似てんだもん.

二、 勧進帳

武蔵坊弁慶吉右衛門 源義経福助 亀井六郎:玉太郎 太刀持音若:児太郎 片岡八郎:種太郎 常陸海尊:由次郎 富樫左衛門:富十郎

昼の部は白昼夢だったんじゃなかろうかと疑いたくなるような吉右衛門富十郎のぶつかり合いが見られます.
どう考えてもこっちでしょう.吉右衛門さんの弁慶は堅実オーラの漂う弁慶でした.富十郎さんの富樫は芝居が進むほどによく見えてきた.でもちょっと前まではもっと声が大きかったと思う.最近は三階までクリアに聞こえないことがあって心配です.
四天王が弱っちいのが気になった.
最後に飛六法ってのは高揚した気分をもたらしてくれていいもんだね〜.

三、 忠臣蔵外伝 忠臣連理の鉢植 植木屋

七実は千崎弥五郎:梅玉 お蘭の方:時蔵 お市:松也 お新:梅枝 福森兵内:玉太郎 植木屋杢右衛門:歌六

外伝と名のつく通り、千崎弥五郎がいかに高師直邸の図面を手に入れたかというウラ話です.お蘭の方のけなげさに打たれた.
時蔵さん、あの硬質な雰囲気が逆に可愛かった.好きだな〜.梅玉さんは比較的何をやっても安定してますね.
久しぶりに見た女形の松也君が良かった.ちょっと痩せたのかしら.