ギュスターヴ・モロー展@ザ・ミュージアム
パリに行くとほぼ必ずギュスターヴ・モロー美術館に行きます.そのくらい好きな画家です.
今回それほど期待していなかったけれど、油彩48点とかなり充実した作品群が来てました.
とはいえ、油彩の作品としてはやはり「オイディプスとスフィンクス」、「オルフェウス」、「神秘の花」といったあたりのものが無かったのは寂しい.「神秘の花」の本作が見たかった.これはギュスターブ・モロー美術館にどかんと飾ってあります.
そのかわり習作の素描群が非常に楽しかった.
絵を見ることは好きだけれど描きたいと思うことはあまりない.でもこの習作は「こういうの描けたらいいなー」って引き込まれるように見つめてしまった.
サロメの衣装とか、スフィンクスの羽とか、柱の模様とか、椅子の修飾とか、もー、とにかく細かい!
Detailまでじっくり描き込んであってびっくりするほど細かい.
ところがこれが本作となると途端に荒くなるのが面白い.あの詳細な描きこみはなんだったの?ってくらいボケボケしてたりべったり塗られてたり.どうしてこうなるの?
モローは美しい顔立ちと装飾性が強い画風が好き.かつ、そもそも扱ってる題材が神話や聖書だったりするのでほとんど全ての絵にストーリーがあるのがとっても楽しい.キマイラ、スフィンクス、グリフォンといったへんてこな生き物好きなところもいい.
今回来ていた作品の中では「出現」は当然のこととして(これってその昔は「顕現」って訳されてなかったか?)、「一角獣」(タペストリーが元だから他の作品と少し毛色が違うのね)、「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」(ぴろぴろ舌を出したリアルなヒュドラがキュート)、「ヘラクレスとオンファレ」(絵というよりはテーマがおもしろかった.オンファレの奴隷になってたとは知らなかった.)あたりが印象に残った.