北斎展

25日から始まった北斎展に行ってきました.混んでるのを予想して3時半過ぎに行ったのに、それでもかなりの人出で後ろから覗き込む形でないと見られないことも多々あり.これからどんどん混んでいくんでしょう.
3000円の画集はどっしりずっしり重いので買う予定の人は荷物を少なめに!


約500点という北斎尽くしに、とりあえず「見た!」っていう達成感で一杯でした.
制作年代順に展示してあるので画風の移り変わりが一目瞭然です.初期の頃より圧倒的に後期の方がおもしろい.
各方面に興味と才能を発揮した北斎だけあって、展示されている作品もありとあらゆるジャンルに及んでた.
一度にこれだけ揃っていると、普段はあまり見る機会のない初期の作品や肉筆画も盛りだくさんで圧倒された.見ても見ても終わらない.
見終わったあとに印象に残るのは動物への愛情と風景画の素晴らしさだった.人間は意外と印象が薄い(あ、北斎漫画はもちろん別です).
数でいえば人間を描いたものが多数を占めてはいるんだけれど、いわゆる「美しく描いた人物像」は美しいだけでそれ以上の何かが残らなかった.どちらかといえば庶民の生活が伺えるようなものや、ユーモラスな視点の入ったものが好き.
晩年の肉筆画は80過ぎとは思えない迫力に満ちていてドキドキします.

日月龍図

一番左に真っ赤な日、真ん中に闇から現われる龍、右に三日月が描かれた縦長の紙本三幅一対の絵.斜めに流れる構図のバランスと白、黒、赤の色の配置が絶妙でしばし立ち止まって眺めてしまった.

富嶽三十六景

『凱風快晴』の2枚の版画は必見です.同じ作品が刷りによってこれほどまでに違うものかとびっくり.これじゃもう違う作品だ.今回『凱風快晴』は東京国立博物館、ケルン東洋美術館、ギメ美術館の3館から出展されており、うちケルンとギメのものは淡い色彩と濃淡の出が美しい.東博のものはべったりと色が出てしまい繊細さに欠ける.
前期はメトロポリタンから、後期は東京国立博物館から出展される超有名な『神奈川沖浪裏』は、東博のものを画集で見る限り圧倒的前期がお勧め.とにかく保存状態が素晴らしく、鮮やかな藍色が楽しめる.富士の周囲の空の色があれほどはっきりとしたコントラストがついていることにも今回初めて気がついた.

鳥羽絵集会

ユーモラスなキャラクター達に思わず頬が緩んだ.踊りの会なのかしら、後ろで唄ってる男達の懸命な顔が愛らしい.

百人一首乳母か絵説

百人一首を1枚の絵で説明するという趣旨のもと作成されたシリーズ物.残念ながら100枚ではなく27枚で終わっているらしい.ただし下絵はほぼ100枚あったらしい.残念ながら絵に書かれていた一首が読めず展示されていた作品がどの歌を説明してたものやらよくわからなかった.紅葉の手向山とか“わが衣手に雪は”あたりの一部は判読可能だったから100首暗記させられた高校時代だったら楽勝だったのな〜.


まだまだ気に入った作品はあれどきりがないのでこのへんで.
『富士超龍図』、『月みる虎図』の両方が見られるのは11月22日から.22日過ぎにもう一度行こう.