TBS/ホリプロ企画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』

【台本・作詞】ハワード・アシュマン 【音楽】アラン・メンケン
【演出】吉川徹 【翻訳】常田景子 【訳詞】竜真知子
山本耕史 上原多香子 越中睦 小堺一機 浦島りんこ Tina 尾藤桃子 結樺健 QOMO 和田アキ子(声) 鹿賀丈史(声) クリス・ペプラー(声)

楽しかったです.
ムシュニクのお店で起こった出来事はなんともやりきれない哀しい悲劇だし、ラストはその後の様子を歌とともに想像させられてゾクッとするけれど、それでも楽しい気持ちで見終わることができた.階段を上るのも大変そうなおじいさんが一人で見にいらしていて、その方がストーリー展開に本当に素直に反応してとっても楽しそうだったのが印象的だた.今日は某カード優待で取った席だったので単なるミュージカル好きという方や出演者もあまり知らないような方に囲まれてたんだけど、終わった後は「面白かった〜」って声があちこちから聞こえて来た.


前回バージョンより全体的によりカラフルよりパワフルな印象を受けた.テレビの人気者を使ってるメリットはこの芝居に関してはとても大きいと思った次第であります.たかちゃんや小堺さんが舞台にいるとぱーっと華やかだもん.
松井るみの舞台セットも私が見たことのあるスタイリッシュでお洒落なものとは違って、ちょっとくすんだ色使いやゆがんだパースがおとぎ話のようなどこにでもあるようでいてどこにもない架空の街っぽさを作り出していた.


最初のうちは正直うーんって感じだった.1幕冒頭ってほのぼのシーモアと天然オードリーの掛け合いだからよっぽどこなれて上手い人じゃないとサムイのよねえ.でもオードリーIIが喋り始めてから俄然テンポが良くなった.オードリーIIが人の血をどんどん欲しがり始めシーモアの苦悩が始まると、登場人物たちが等身大のキャラとして現われてきて感情移入しやすくなった.
あとは単純に後半の方が盛り上がる楽曲が多い.誰もが不安を歌うから状況説明ソングより感情吐露ソングが多くなり、自然にメロディーもドラマティックに!3人娘の迫力あるコーラス+和田さんのドスの効いた声ってのはインパクトが凄い.
巨大なオードリーIIをバックに歌い踊るのシーンは視覚的にとっても楽しい.あのオードリーIIの大きさがないとこの迫力は生まれまい.
1幕後半〜2幕は満足しました.


シーモア役の山本君.終始猫背でオドオドとメガネをずり上げてました.後半の悩めるシーモアはさすがです.見ごたえありました.前半も小堺さんやたかちゃんとの息はぴったりだったので、あとは最初から和んだ空気で会場を包むことが出来ればいいんじゃないかなー.って、それは芝居全体のことか.歌はというと、あのハスキーな声がメリットにもなりデメリットにもなるね.どうしても低い音になると歌詞が聞き取り辛い.たかちゃんがクリアなだけに聞き取れなさが目立った.でもほんわかあったかい歌声なのでシーモアの優しさやいじらしさが自然に伝わってきた.特にオードリー絡みの場面はどれもこれも良かった.オードリーIIとの掛け合いもばっちりでした.
今日は12,3列目という舞台全体が見渡せるとても見やすい席だったけれど、残念ながらあのでっかい黒ぶちメガネのおかげもあって表情があまりわからなかった.特に後半には表情が見たいと思わせられる場面がいくつもあったので一度はセットや構成が楽しめる後ろから、一度は表情が見える前方席で見たいものですね〜


オードリーのたかちゃん.とにかく可愛い!もう可愛さで全てが許されるってくらい可愛い!
次から次へと衣装をかえてまるで着せ替え人形のようでした.金髪のカツラが似合っていて、きゃしゃで細くてフランス人形みたいだった.
歌も予想してたより全然いいじゃん.明るくはっきりした声なので物凄く歌詞がわかりやすい.ちょっと抜けてる天然素直ちゃんなので、おっとりしたたかちゃんにはぴったり.シーモアに最後の頼みをする場面では思わずホロリときましたよ.


ムシュニクの小堺さんは台詞の一つ一つが完璧に計算されていて狙いがとてもわかりやすいので終始安心してみていられました.ビジュアルもとっても花屋っぽい.


オリンの越中君.バイクで登場した時は「ちっちゃいオリン!」って思ってしまいました.岡さんのオリンは登場した途端「でかっ!」って思ったのでその印象でつい….身長だけでなく越中君はバンド出身だけあって華奢だから.岡さんはタッパもボリュームも一回り大きくて迫力オリンだったけど、越中オリンは線の細い神経質そうなオリンだった.暴力男のはずなの変な奴とは思えど危険な感じはしなかった.特番でダメだし受けてた診察シーンでは良く受けてましたね〜.バイクシーンよりこの診察シーンのほうが断然良かった.
越中君はその後も格好変えて何役かで登場して頑張ってました.女性の役は小堺さんがやってたけど、確か前回は岡さんの女装があったことは鮮明に覚えてるから全部岡さんがやってた気がする.あの場面も通りではなく店の中で、ひっきりなしにいろんな人が出入りしてたんじゃなかったかな(でもうろ覚え).


3人娘は縁の下の力持ちとばかりにあちこちで大活躍.これだけ歌が上手くて芝居ができる3人が揃ったら言うことないです.
男性二人は浮浪者役&根っこの場面が多くてちょっともったいない.


カーテンコールのキャスト勢揃いを見て「こんなに少なかったのか!」と驚きました.つい先ほど同じ劇場で見た吉原御免状はわらわらと何重にもなるくらいキャストがいっぱいいたのに、こんな少人数で舞台作ってたんだ.オードリーIIが10人分くらいの迫力だからトータルで考えれば同じか?
カーテンコールではメガネを客席に投げ入れようとする山本君がいました.投げる真似だけですけどね.「明日はお休みです」と嬉しそうに報告してました.
はける時に風船オードリーIIの根っこに自ら巻かれに行く小堺さんと越中君.2人ともお茶目満開.