鶴屋南北『南総里見八犬伝』上・下

現代語訳 南総里見八犬伝 上 (河出文庫)現代語訳 南総里見八犬伝 下 (河出文庫)
一度は下巻の2/3まで読んでいたのにしばらくほっておいたらさっぱりわからなくなって(日記検索けかけたら去年の12月に放り出した模様…そりゃわからんわ)、結局また上巻の最初から読み直す羽目に.おかげさまで1度目よりは多少なりとも展開を把握することができた.
とはいえ、全部読み終わった今でも苗字と名前が一致しません.犬川、犬江、犬塚、犬飼って当たり前だけど犬ばっか.苗字で表される時と名前で表される時と2つのパターンが混在してるので、苗字だけの時には(○○)って名前を補足してほしかった.どうしてこんなに覚えられないんだろう.
八犬伝が取り上げられた不思議発見で「最初のクライマックスは化け猫退治」と言われてたけれど、化け猫退治は上巻の最後も最後だよ.上巻の半分は八勇士が登場するきっかけをひたすら説明してるから、いつまでたっても玉を持った勇士が登場しません.
どうしてなのか八犬伝の主役は信乃だと思っていたのだけれど、下巻を見ると親兵衛が主役なのかと思うばかりの描写で、いったい誰がメインどころなのか結局わからなかった.全員が平等に描かれてるってわけでもないし、かといって誰か一人が突出してるわけでもないという、主役不在の物語でした.
それにしても、次から次へと義のために自らを犠牲にして死んでいく人続出で、え?また?って多少ひいてしまった.『合邦』や『寺子屋』なんて目じゃない.あんな話がごろごろと転がってます.そして一様に「あっぱれなこころがけだ」と称されてます.それから女性、特に賢女と思われる女性がすぐに殺されるのも目に付いた.出てきては殺され、また出てきては殺され、そのあまりにあっさりした語り口になんとまあ女性に冷たいお話だと驚いた.
あまりに簡単に死んでいくので、この話が書かれた当時の社会で本当にこんな死に方が一般的だったのか、それが知りたくなった.1400年代が舞台ということは当時の人から見ても「時代劇」であって、ここに描かれてるのは現実ではなく「きっと当時の武士はこうだったであろう」という理想と想像の世界だったんじゃないかと思うんだけど、本当のところはどうなんだろう.


とりあえず、これで心置きなく正月ドラマが楽しめます.
テレビ雑誌でキャスト眺めたら大角のイメージが違った.大角ってもっと大人なイメージだったの.勝地君だとかなり若々しい大角だね.