マリア伝説とルネサンス プラート美術の至宝展−フィレンツェに挑戦した都市の物語−@岐阜県美術館

http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s27213/exhibition/events/200511/index.html
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館


招待券があるからって何が来てるかもしらずに行ってみたら、
あら、フィリッポ・リッピじゃないの!
わーい、こんなところで見られるとは思っても見なかったので嬉しい誤算です.
リッピの絵が見られただけで大満足.


今回の展覧会はプラートの大聖堂にあるフィリッポ・リッピの壁画の修復記念もかねてたようだ.
前半は「聖母の帯」伝説に伴うルネッサンス期の作品が、細かい説明と共に展示してありなかなか見ごたえがあった.テンペラとフレスコの違いや、キリスト教の聖人の見分け方といった基本的なお約束を比較的真面目に紹介してくれていたのが良かった.


聖帯とは聖母マリアが死後、天に引き上げられる際に残した帯のことで、なぜプラートでこの伝説が盛んかといえば、この聖帯がプラートに聖遺物として保存されていたからだそうだ.そのあたりのいきさつはベルナルド・ダッディの『聖帯の伝説』という作品で見ることが出来た.



リッピの1つ目の作品は『聖ユリアヌスをともなう受胎告知』
白い肌とピンク色の頬、夢見るようなまなざしが印象的な作品.独特の肌の美しさ柔らかさには驚かされる.
隣にまったく同じ構図の違う画家の作品が展示してあったので、リッピの画力が歴然とわかった.同じ顔がどうしてああも違うものになってしまうんだろう.左上の神を現す手を包む青色が美しい.




もう1つは『身につけた聖帯を使徒トマスに授ける聖母』
聖母がトマスに渡している長細いものが聖帯.聖母は人間だから自力で天に昇れないので、天使が二人がかりでエレベータのように聖母を運んでます.足元のバラには棘は無し.聖母だから棘があったらまずいんだって.
左端の聖マルゲリータはルクレツィアの顔を模してるのだそうだ.この手の顔は「ボッティチェリに繋がる」という説明がすんなり納得できる顔だ.そして私はこのタイプの顔と表情が大好き.


最後に大聖堂の壁画の写真が展示してあった.ヨハネの一生を描いた壁画では、非常に美しい肢体の踊るサロメがいた.白いドレスのドレープや首の傾け具合など、ほんとにボッティチェリに近い.
本物が見てみたいな〜.