ベガーズ・オペラ

【原作】ジョン・ゲイ 【演出/脚色】ジョン・ケアード  【作曲】イローナ・セカッチ
【出演】
マクヒース : 内野聖陽
ピーチャム : 高嶋政宏
ロキット : 村井国夫
トム(フィルチ) : 橋本さとし
老役者 : 金田龍之介
ルーシー・ロキット : 島田歌穂
ポリー・ピーチャム : 笹本玲奈
ミセス・ピーチャム : 森公美子
ジェニー・ダイヴァー : 入絵加奈子

事前知識ゼロ、かろうじて橋本さとし島田歌穂が出るってことを覚えていただけだったので、内野さんや高嶋兄、村井国夫にモリクミさんとミュージカルお馴染みのメンバーがずらっといてびっくりした.そうだそうだ、こういうメンツだった.


多少体調が悪かったので終演時間10時という表示を見て倒れそうになったけど(だって開演6時半、ってことは3時間半だよー)、途中ちょこちょこと意識が飛ぶ中でも最後はとても楽しくて、ぜひもう一度見てみたい舞台となった.
イギリスの下層社会でしぶとく、かつ楽しくギラギラと人生を生き抜いていく人々の姿がパワフルに描かれていた.どの人物も自分の感情をむき出しに、欲望に忠実に生きている.ブレヒトの『三文オペラ』の原作と聞き、ブレヒトに苦手意識を持つ身としてはちょっと構えて見に行ったけれど、悲惨な現実を笑い飛ばすパワーのある作品で今後ぜひ東宝レパートリーに追加してもらいたくなった.


舞台の両端に客席があったり、劇場の中にもうひとつ芝居小屋が出来上がっている雰囲気だった.舞台上の客席も一緒に踊ったり、幕間で出演者たちが劇場を歩き回って客席いじりしてたりと、「乞食一座が演じているオペラ」ということを前面に押し出した演出が楽しかった.
ヨーロッパの古い劇場のようにボックス席を作り、その中で役者達が観客として座り芝居を見ている芝居をしてた.ワインを飲んでみたり、休憩時間になった途端「トイレ行ってくるわ」って実際の観客と同じ行動に出てみたり、拍手したりヤジってみたりブラボーと叫んでみたりと、客の一部となって芝居を盛り上げていたし、実際それらの行動で本当に客席が盛り上がった.
2回目の幕間ではモリクミさんが客に食べ物を要求してて、本当にいろんな食べ物もらってた.前方列の人達はリピータなのかな?みんな用意したように食べ物持ってて、なにやらウナギ巻きのようなものまで1パックもらってた.違う人からはお茶もらったりと、幕間で十分栄養補給をされていたようです(笑)
私の席の近くの通路では村井国夫が客席に声をかけながら通路を上がっていき、握手をしてもらっていた後ろのおば様方はたいそう嬉しそうでした.


1度だけの観劇だと特に印象に残る歌がなかったのが残念.歌い上げ系がないからか?
内野さん、かつてエリザベートで聴いた時より格段に歌が上手くなっていた.今回のようなクラシカルな曲調でない曲のほうがあっていると感じたので、春の『メタル・マクベス』が楽しみになった.あれ?あれって歌うんだよね?
ポリーやってる可愛くて上手い子は誰だろう??って休憩時間に確認したら笹本玲奈ちゃんだった.活き活きと元気一杯の女の子が似合ってた.エポニーヌよりこういう役のほうが俄然魅力的に見えた.今更だけど『L5Y』の相手役は玲奈ちゃんあたりが良かったな〜.歌えるし演技もできるし.
歌穂さん、モリクミさん、村井さんあたりは言うことなし.高嶋兄のくどさにはキャラクター者がばっちりはまるね.
アンサンブル、特に女性の方々が素晴らしかったです.


今日の目撃
お着物姿の中谷美紀、赤いマフラーが印象的な福岡翼