法隆寺


3年ぶりの法隆寺。何度きても南大門をくぐって見える景色にはうっとり。つい深呼吸したくなるような気持ちの良い空間だ。白い石が敷き詰められた参道が眩しい。



中門(飛鳥時代)の金剛力士にご挨拶してから伽藍へ向かう。非常にプロポーションの良い迫力に満ちた日本最古の力士像(奈良時代)です。いろんなお寺に行くとびっくりするくらい4頭身な力士とかペコちゃんみたいな力士像とかに出会うことが多く、この手のバランスの良い力士像にお会いすることは想像以上に難しい。


伽藍に入ると廻廊に囲まれた金堂、五重塔、大講堂が目の前に広がる。この配置をこの規模で見られるお寺は他にあるかしら。この整然さを見ると奈良のお寺に来たわーって気持ちになる。



まずは五重塔へ。北面の塑像の涅槃図は暗いのと網で表情を識別することすら難しく、せめてあの網がもう少し細くて透明だったらを思わずにはいられなかった。


大講堂は薬師三尊像。気持ちの良い風が吹き抜ける中、清清しく伽藍を見渡す。最高だねー。


続いて廻廊を通って金堂へ。象やら竜やら獅子やら勇猛な(でも可愛いの)動物があちこちで屋根を支えてます。昔の建物は実用をかねての装飾が凝っていてはんぱなく金使ってるよなーって妙なところで感心してしまう。
さていよいよ釈迦三尊像とのご対面。おお、ここでもなんだか明るい!冬に来ることが多かったせいか暗くて目を凝らさないと何があるのかわからないイメージが強かっただけに、この明るさは予想外。今思い出してみると北側の扉が開いてたせいか?
釈迦三尊像も横の薬師三尊像も脇侍の菩薩が光背から伸びた蓮華の上に乗り、まるで宙に浮いてるかに見えるのが特徴的。北魏様式の影響を受けた釈迦像は、平安期の穏やかな精神性ではなく、異国からやってきた宗教らしいエキゾチックな神秘性に溢れている。
白鳳時代四天王を見ると、よくまあこのすぐあとの奈良時代戒壇院四天王のような造詣にまで変わるものだとびっくりする。この直立不動性もシンプルでかっこいい。


続いて聖霊御朱印を頂く。法隆寺阿弥陀様かと思いきや「以和為貴」という聖徳太子が制定した十七条の憲法からの一文だった。こちらには国宝の聖徳太子像や中大兄皇子像などが安置されているのだけれど、残念ながら非公開。


大宝蔵院では多くの仏像とご対面。夢違観音はいつお会いしても若々しい精気に満ちて可愛らしくていらっしゃる。白檀一木造りの九面観音の切れの良い超絶技巧細工はいかにも大陸風味。
玉虫厨子は一度本物の玉虫で再現したものを見てみたい。
今回はそれほど百済観音には興味を持てず。そういう気分じゃなかったみたい。
年表を見ながら日本史をおさらい。つか、おさらいするほど覚えてない。もともと世界史選択で受験前に突然必要になったせいで3ヶ月程度やっつけで暗記しただけだから、自分でも驚くほどのスピードで全て忘れ去った。
度重なる天災や戦禍の中、よく今まで無事に残ったものだ。飛鳥の地にあったのも幸いしたのかしらね。飛鳥の地にいると橋本治平家物語』を読み返したくなった。
天女の壁画の風になびく線の勢いと滑らかさには舌を巻く。こういうの描いてみたい。
今回は夢殿と中宮寺はパス。一度は救世観音を見ないとね。