十二月大歌舞伎 夜の部

一、神霊矢口渡
頓兵衛:富十郎
新田義峯:友右衛門
うてな:松也
六蔵:團蔵
お舟:菊之助


二、江戸女草紙 出刃打お玉
お玉:菊五郎
おろく:時蔵
どんでんの新助:友右衛門
おかね:萬次郎
三井平之助:権十郎
僧宗円:亀三郎
おふさ:松也
茶屋女お金:歌江
居酒屋甚五郎:市蔵
桔梗屋伊兵衛:右之助
近江屋与兵衛:家橘
藤十郎團蔵
広円和尚:田之助
増田正蔵梅玉


三、新歌舞伎十八番の内 紅葉狩
更科姫実は戸隠山の鬼女:海老蔵
山神:尾上右近
侍女野菊:市川ぼたん
腰元岩橋:亀蔵
従者左源太:亀三郎
従者右源太:市蔵
局田毎:門之助
平維茂松緑


『神霊矢口渡』、隣の女性がちょっと信じられないくらい号泣してて、そっちに気が取られてしまった.そんなに泣く?
菊ちゃんのおきゃんなお嬢ちゃんは可愛かった.つか珍しく照れてる仕草とか可愛かった.後半の瀕死の必至さはいい.菊ちゃんに似合ってる.ちょうど昼の部の菊五郎さん見ながら、将来菊ちゃんはこういう愛嬌たっぷりな長屋の親父をできるようになるのかしらって思ってたもんだから余計に感慨深い.菊ちゃんはパパとは持ってるカラーが全然違うねえ.惚れる相手が友右衛門ってのがなんとも.色気がなさ過ぎて近所のおじさんにしか見えない.


『出刃打お玉』はそんな菊五郎さんのカラーが生かされた作品.池波正太郎梅幸さんの求めに応じて書き、25年の歳月は人をこうも変えるのねって切なくも考えさせられる作品なので、本来はこんなに笑えるものではないのかもしれない.が、菊五郎さんがやるとなんだかおかしくて.「しんじられなーい」ってネタ仕込んでたし、本人的にも笑ってもらった方が成功ってことでいいのかしら.23歳の童貞青年を演じる梅玉さんが意外にもとてもよかった.


『紅葉狩』、あれ?私が今まで見てた紅葉狩ってこんなだっけ?なんか、なんか海老蔵が凄かった.更科姫が鬼の片鱗表すとこってあんなガバッと大股開いてたっけ?とりあえずびっくりして呆然と見守ってしまった.1幕目で号泣してた女性はこちらでは大爆笑でした.まあ、そりゃ笑うわな.姫のひっこみがまるで弁慶だったもん.これはなんだ、新しい解釈か.最後の鬼のところも100%どころか200%でエネルギー発散って感じで、勢いだけは凄かった.女ってより男の鬼だね.右近は声変わりなのかかすれた声が痛々しい.踊りは相変わらずメリハリ利いてて見ていて楽しい.どんな踊り見せてくれるかなーって見る前からわくわくさせてくれるってのは凄いことですよ.