二月大歌舞伎 通し狂言『仮名手本忠臣蔵』

昼の部

夜の部

昼の部は松の間と切腹の場が見所でした.大序はまだしも三段目四段目は通しでもない限りあまり見る機会ないので久しぶり間が伴い楽しかった.切腹で楽しいってのヘンな言い方か.
高師直富十郎さんが上手い.愛嬌と嫌味とが入り混じって憎めない高師直に仕上がっていた.
切腹の場はきっちりと儀式として演じられるので本当に切腹を見守るような緊張感が会場中に充満する.この張り詰めた空気が好き.由良之助はまだかと何度も問う塩冶判官が泣けるー.亡骸を整える由良之助といい主従の絆にグっとくる場面の連続です.その後お香の香りが会場に漂うのも良い演出だよね.本当に死んじゃったのねって神妙な気分になる.だからこそその後の明渡しの場での由良之助の決意が見てるこっちにまで染みてくる.幸四郎は相変わらず何言ってるのか良くわかんなかったけど、最後の見せ場はきっちりもっていくとこはさすが.


夜の部はなんといっても七段目.いいもん見せてもらったわーって幸せ一杯.これで十分以上に満足したので十一段目は見ないで出ちゃった.
玉さんと仁左さんの兄妹のじゃれあいが可愛いらしいのなんのって!妹が可愛くてしょうがない兄と兄に甘える妹が微笑ましいやら羨ましいやら.どちらも単純で素直なところがいかにも兄妹らしい.玉さんと仁左さんだからなんともまあ見目麗しいツーショットで兄妹とはいえうっとりです.いきなり刀で切りかかってきた兄に拗ねる妹と、そんな妹を一生懸命宥める兄の場面の可愛らしさときたら無いですよ.
久しぶりに見た仁左さんのあまりのかっこよさ美しさにオペラグラスでガン見してしまった.なんてまあ綺麗な人なんでしょうね.玉さんは美しいだけでなくコメディエンヌとしても間の取り方とか抜群なのでお笑いの場面も安心です.あまりの美しさに久しぶりに舞台写真を3枚も買ってしまった.
吉右衛門さんの由良之助との相性もばっちり.バランスの良い3人で至福のひと時を過ごしました.次は團十郎さんの平右衛門で見てみたいな.
五段目はというと、いつもはそんなに思わないけど今回は菊五郎さんのあっさり風味が際立ってサラサラした腹切場だった.