こまつ座&シスカンパニー『ロマンス』

作:井上ひさし 演出:栗山民也
大竹しのぶ 松たか子 段田安則 生瀬勝久 井上芳雄 木場勝己

18時半開演だなんて…全然知らずに普通に行ったら人気が無い.どうしてなんだろうって入場しても数秒気づかなかった.というか数秒で気づいてよかった.そして案内係の女の子が超いけてなくて、何度も何度も間違えて暗闇の中ちっとも席に辿りつけなかった.一人で行ったほうが早かったと思う.
そんなわけで最初の10分見逃した.相変わらず予習ゼロだったので1幕最後にチェーホフの写真が出るまで実在の人物を演じてるんだと気づいてなかった.おかげで前半つい眠気が襲ってところどころ記憶が無い.最初からこれがチェーホフの話だとわかってたら眠気に負けなかったと思うので、ちゃんと予習することも大切だなと思った次第.もったいなかったなあ.途中で罪と罰の話が出てきて、リアル世界とリンクしてんのかーって思ったけど、時代性を描くための道具かと思ってた.
チェーホフの話だとわかった後半は面白くてグイ見です.こうやって足しげく劇場に足を運ぶからには、劇作家、女優、演出家たちの裏事情に興味がわかないわけがない.『三人姉妹』の芝居なんかを思い浮かべながらセリフ聞いてるだけでも楽しかった.最後のトルストイの登場も嬉しい.ドラマとは何かと薀蓄たれるシーンなんか、何言うんだろうってわくわくを聞き入ってしまった.男性陣のチェーホフ演じ分けも楽しい.見た目があんなに違うのにあっという間の変更にもすんなりついていけた.単純だけどトルストイの12か条を真似してチェーホフとオリガがじゃれあっているシーンの台詞の流れにギュッときた.素直に美しいなと感動しました.手紙の冒頭の数々の呼びかけがこうも効いてくるとは!気ままな女優でありながらオリガがどれほどチェーホフを愛しているか、チェーホフがどれほどの安らぎを得ているのかがありありと伝わってきて思わず涙ぐみました.
役者陣は言うことなし.そもそも普段井上ひさしを積極的に見ない私がなぜこの芝居のチケットを取ったかというと、ひとえに大竹&松という2人の女優の競演を見逃すわけには行かないという芝居好きの魂がうずいたから.舞台女優としてすごいなと思っている2人だけれども、こうやって2人並ばれるとやはり大竹しのぶは凄いなと思わざるを得なかった.タバコ売りの歌からカモメの台詞への切り替えがあまりに見事で、あの場面のテーブルにいた3人と同じように客席がハッと静まり返ったのがよくわかった.

もたいまさこ小林聡美が揃って観劇.この二人は前も一緒に観劇してたのに遭遇したことがある.本当に仲がよいのね.