吉例顔見世大歌舞伎 夜の部@歌舞伎座
通し狂言 仮名手本忠臣蔵 五段目・六段目 早野勘平 菊五郎 女房お軽 時 蔵 母おかや 東 蔵 千崎弥五郎 権十郎 不破数右衛門 段四郎 判人源六 左團次 斧定九郎 梅 玉 一文字屋お才 芝 翫 七段目 大星由良之助 仁左衛門 遊女お軽 福 助 赤垣源蔵 松 江 富森助右衛門 男女蔵 矢間重太郎 宗之助 中居おつる 歌 江 斧九太夫 錦 吾 大星力弥 門之助 寺岡平右衛門 幸四郎
十一段目はパスしました.
お目当ては七段目.七段目大好き.ほんと面白い.本心隠して敵を欺こうとする由良之助と、お軽平右衛門の愛情ドラマが交錯して見所がいっぱい.騙し騙されの命のやり取りにが行われてるというのに華やかな一力茶屋が舞台ということで暗い空気にならないのがいい.
その点五段目はいかんせん暗い.ただ暗いだけでなく責める前に事実確認すればいいのにって理不尽さを感ぜずにはいられない.歌舞伎にはありがちな展開なんだけど五段目だけはどうも義母の責め方がひどすぎるように思えてならない.勘平が他の理不尽に死んでいく歌舞伎の登場人物と違ってとても人間臭くて現代的若者に見えるからかしら.
七段目は由良之助が仁左さんということで即決.かっこいー!最後に九太夫に恨み言言ってるところ(状況説明するとめめしいかも…)なんてあまりのカッコよさに感涙.仁左さんはお坊ちゃんやってる時とはまるで別人です.が、さすが遊びっぷりが板について無理がない.いかにも遊んでますよー酔ってますよーっていう芝居じゃないところが良かった.最後の最後で感情を爆発させるような演技プランだったように思う.それまで比較的静かな芝居をしてたのが最後本心を吐露するシーンでいきなり激するからどうしても感動してしまう.
私の一押し座組みは吉右衛門さん、玉さん、団十郎さんですが、人が違うとこうも違うかっていうのを久しぶりに実感した.幸四郎はあまり得意な役者ではないのだけれど、兄の顔になってからは面倒見の良い優しいお兄さんって感じでよかった.福助のお軽は玉さんとは全然違った.やんちゃというかおてんばというか活きの良いお軽だなーって.そしてそんなお軽と幸四郎の平右衛門はとても相性が良かった.
歌舞伎座という劇場柄、他の劇場ほど観劇マナーというものにピリピリしないようにはしていて、最近は劇中おしゃべりくらいは我慢できるくらい心が広くなっていたというのに、今日は久しぶりに我慢の限界で、それもあって十一段目は見ないで帰った、隣と両斜め後ろからひっきりなしにコンビニ袋のカシャカシャって音が響いてきてイラッとし通し.台詞が聞こえん!!お年寄りはなぜあの袋を握ったまま芝居を見るのだろうか.