皇室の名宝2@東京国立博物館

皇室の名宝展第2弾に行って来ました.今回のテーマは『正倉院宝物と書・絵巻の名品』です.4時に着いた時にはまだまだ人も一杯だったけど一巡した後最初の部屋に戻った5時半頃にはすっかり作品を独り占めできる状態でした.とりあえずさーっと一回りしてじっくり見たいものは5時半過ぎに集中するのが良いと思われます.

なんといっても正倉院宝物!!素晴らしい!!
初めてまともにこれだけまとめて見て、毎年正倉院展に混雑を押して出かける人の気持ちがわかった.凄いもん.良く言われることだけどとにかく保存状態の良いことに驚いた.物によっては当時のままなんじゃないかって思えるくらい色鮮やかで欠けたところのない繊細さに圧倒される.物が持つパワーにこちらの気力が吸い取られる感覚を実感しまくり.おかげでいつも以上にぐったり疲労困憊.

  • 螺鈿紫檀阮咸
    • 聖武天皇愛用と言われる弦楽器.背面の琥珀や貝を使った模様がピッカピカで素晴らしい!特に螺鈿で作られた鳥の細かい細工がすごい.陰影までちゃんと表現してあった.
  • 黄金瑠璃鈿背十二稜鏡
    • こちらも七宝の出来立てホヤホヤの艶感があってとても古代のものとは思えません.美しいの一言.
  • 紅牙撥鏤尺
    • 鮮やかな紅色がとても可愛らしい尺.暗い照明の下では細かい細工が見切れなかった.無念.
  • 沈香画箱
    • とても気に入った箱.下辺の周囲に獅子や果実の細かい浮き彫り細工がしてあってモチーフの選び方が異国情緒たっぷり.よく見ると側面には波のような模様が描かれていた.四角い枠の中にはピンクや水色のこれまた可愛らしい模様があって、現代の女性にも受けるデザインだと思う.
  • 紺玉帯残欠
    • 大きな瑠璃の石がついたベルト.見ようによってはむしろアバンギャルドなデザインでかっこよい.
  • 螺鈿背円鏡
    • 出展一覧にはこの名前があるけどイメージ検索して出てくる鏡と展示してあったものが違うのはどういうことだ.展示してあったのはサイや獅子や鳥が2頭ずつ向かい合っている柄のものだった.
  • 衲御礼履
    • 革靴です.中は柔らかい鹿の革、外は牛だったかな(忘れた).赤い染色とビーズの飾りと割れたつま先のデザインがとても素敵.

正倉院宝物以外では平安時代の書が見ごたえたっぷり.

  • 小野道風「玉泉帖」
    • 何が書いてあるのかはさっぱりわからないけれど、リズミカルな書というのはこういうことかと目が釘付けになった.破天荒な勢いを感じる面白い書だった.こういう書を書く人なのかなと思いきや、別の書ではきっちりと美しい字でまとめてたのでまたまたびっくり.目的によって書き分けるのね.
  • 藤原行成「粘葉本和漢朗詠集
    • 美しい和紙の本の見開きに書かれた書.お手本のように均整の取れた玉泉帖とはまったく違ったタイプの書だった.美しいペン文字の元祖といった感じ.
  • 藤原行成敦康親王初覲関係文書」
    • 一条天皇に初めて会う時の覚書だとか.藤原道長日記に絶対に書いてあると思う.この日記ではよく藤原行成に書記をさせた(意訳)という記述がある.側近にこんなに字が上手い人がいるとそりゃ使うだろうと思った次第.
  • 春日権現絵巻
    • 大工の道具の細かい描写や、今風の紫ピンクといった色の使用にも目を惹かれるけれど、雪の降り積もった山の描写に最も感動した.紅葉の上に雪が積もったかのような個性的な表現で、こんなのは絵巻物で見たことがない.