二月大歌舞伎 夜の部@歌舞伎座

壺坂霊験記
沢市:三津五郎 お里:福助
高杯
次郎冠者:勘三郎 大名某:弥十郎 太郎冠者:亀蔵 高足売:橋之助
籠釣瓶花街酔醒
佐野次郎左衛門:勘三郎 八ツ橋:玉三郎 繁山栄之丞:仁左衛門 立花屋長兵衛:我當 おきつ:秀太郎 九重:魁春 権八弥十郎 治六:勘太郎 七越:七之助 絹商人丹兵衛:市蔵 絹商人丈助:亀像 初菊:鶴松

充足感に包まれて歌舞伎座を後にしました.
壺坂霊験記は、すみません、途中眠気に襲われてました.福助が比較的控えめにキュートに演じてた.
高杯は勘三郎で2004年に見てます.当時の感想を読む限り今回は敢えて笑いに走らず、真面目に演じて面白いという作品にしていたと思う.高下駄履いてのタップという技術はもちろんのこと、一瞬にして観客の心を掴むのはさすがだなと.ここっていうところを外さず客に伝えることができる間の良さと勘の良さがこの人の人気のモトなのでしょう.昭和に入ってからの新しい作品とはいえ、客を喜ぶことを第一に考えた展開や演出など、これぞエンターテイメントだなと感心することしきり.
籠釣瓶花街酔醒.玉さん&仁左さん&勘三郎と来れば期待しないわけがない.この座組は2005年勘三郎襲名で見た.当時の配役見ると勘太郎ちゃんがやってた七越を今回七之助くんがやってたりと時の流れを感じますね〜
でですね、これはも芝居として見所たっぷりで全編息を凝らして見つめましたよ.大満足!様式美はもちろんだけど3人とも内面の芝居に凝るタイプの役者でもあるので芝居をじっくりこってり見せてもらえた.玉さん仁左さんの浮世離れした美しさと勘三郎の庶民的な空気が二つの異なる世界に住む人たちが交わってしまった悲劇をより強調していてとてもバランスの良い座組だと思う.
玉さんは薄いピンクの帯にオレンジ縞柄の内掛け.花道での笑みはありがたいことに3階席でもちゃんと見ることが出来た.あれは次郎左衛門じゃなくても息を呑むでしょ.いつもざわついてる歌舞伎座がしーんと静まり返ったもん.後ろのおじい様方が、歌右衛門はあそこで歯見せて笑ったけど玉三郎は見せないね、なんて話しておらせました.なるほど.
栄之丞はやってることだけ見るとこんな男のどこがいいんだっていう顔だけのヒモ男なんだけど、仁左さんがやるとそりゃ離れられないよねっていう妙な説得力があります.だって黒羽織のすっとした立ち姿なんてうっとりするほど美しいんだもの.別れる別れないのもつれ話の場面は美男美女揃い踏みで目の保養.仁左さんはこういう無茶を言う美男子役が良く似合うわー.
八ツ橋が次郎左衛門を袖にする場面は、最初は無表情だったのが徐々に変化していく八ツ橋の表情と、冷たい言葉をじっと聞く次郎左衛門の表情の対比がなんともいえない緊張感をはらんでいて目が離せません.2人とも凄い.宥めに入る秀太郎魁春がまた良くて.ここは歌舞伎の心理表現を楽しむにはもってこいの場面じゃないでしょうか.
ラスト、狂気にかられた勘三郎の目が凄い.玉さん八ツ橋はこれ見よがしではなくさりげなーく死んでいきましたね.

さて来月のチケット取りが近づいてきたけどどうしようかなー.一部と二部は見よう.三部は悩み中.