染模様恩愛御書 細川の血達磨@日生劇場

  

大川友右衛門  市川 染五郎
印南数馬  片岡 愛之助
横山図書  市川 猿弥
腰元あざみ  市川 春猿
細川奥方照葉  上村 吉弥
細川越中守  市川 門之助

得チケ出てたんで急遽行ってきました.行ってよかった!
ホモ美形バカップルのラブラブっぷりに笑い忠義の心に泣きました.お色気シーンありアクションありのスペクタクルです.歌舞伎初心者にもお薦め…と言いたいところだけどかなり違うからどうかなあ.
boy meets girlならぬboy meets boyの世界です.愛之助に一目ぼれした染が押せ押せで気持ちを成就させるんだけど、愛之助がとにかく綺麗なんで一目ぼれの説得力ありあり.前髪ありで仕草も可愛らしくて、ひー愛之助の新たな魅力に開眼しました.染は最後の最後にさすがという見せ場あり.メインの役者が階段落ちするなんて歌舞伎じゃ始めて見た.全然ストーリー知らなかったので、御朱印を炎から守るために切腹して内臓に隠して焼け死ぬ展開に心底びっくりした.リアルに想像しちゃうと結構グロイじゃないですか.まんまとリアルに脳内再現しちゃってオペラグラス覗く顔がゆがんでしまった.
1幕目はとにかくバカップルがいちゃいちゃしてて可愛いの一言.日生劇場ということもあってか今回結構照明が凝っててピンスポあり雪模様ありとかなり演出されてた.そんな中お色気シーンになると笑ってくださいと言わんばかりのコントですか?っていうピンク&パープル照明が使われてた.染が男役だというのに染のほうが帯クルクル解かれてあーれーってやって笑いとったりしてるわりに、裸で抱き合ったりキスしてたりと結構本気お色気シーン演出もあり(ただし影絵演出なので笑える).不義密通がばれてお手討ちにしようとするお殿様が、庇いあう2人の本気の愛情に感服してあっぱれって言いだした時には、板上の女役の「ええーっ!?」って台詞がまさに客席の心を代弁してた.
ニ幕は一転して仇討ち&悲劇の幕切れに向かうというアクション物に突入です.本懐遂げてめでたしめでたしというところで終わらないのがロマン派?(←勝手に言ってみた)
立ち回りが多くなると途端に目立つ三階さん不足.2階から見下ろしていたので余計に舞台ががらんとしてるのが目立った.がしかし一番人不足を実感したのは最後の染を弔う場面.名家の一大事というわりにお殿様の周りに人がいなくて寂しい限り.こういう場面で意味無く人が並んでいるというのに実はとても意味があるのだなと、そうでない場面を見てはっきりわかった.
最後に一人残った愛之助のもとに天井からかきつばたが一輪降りてきて幸せだった昔を懐かしむという叙情的なシーンのはずなのに、なにせ照明が赤&緑のストライプという2階からはスイカにしか見えない模様を板に描いてるわ杜若は唐突だわで思わず客席から笑いが漏れてた.でも涙ぐむ愛之助と、背後にすっくと立つ染はどちらも大変美しかったです.ごちそうさま.
2時間半くらいの間に、恋あり仇討ちあり火事ありともりだくさんなのでとにかく展開が早い.人物の内面に入り込むというよりは、観客が盛り上がる出来事が次から次へとやってくるのでとってもわかりやすい.スモーク使ったり歌詞入り音楽使ったり紙吹雪ならぬ金箔が飛び出してきたりと演出も現代的.語りは弁士がやっていて義太夫なし.カーテンコールあり.こういう演出もいいんだけど、不満があるといえば義太夫がなかったことと舞台の床の素材.ついこの間歌舞伎座で見たばかりなので、ついついこれ歌舞伎座でやったらまた全然違うものになるんだろうなーって考えてしまった.こうやって比べると歌舞伎専門に作られた小屋の空間って今ではない世界をすんなり今にしちゃう不思議な力を持ってると思う.あ、あと芝のぶちゃんの扱いは大いに不満だわ.染の妹役ということで出番も台詞もかなり多いのにチラシに顔写真がないだけでなくカーテンコールでの登場もなし.やっぱりこの世界じゃしょうがないのかしら.でも久しぶりにこんなに台詞のある芝のぶちゃんを見れたので満足.