黙阿弥オペラ

井上ひさし演出 栗山民也
出演 藤原竜也北村有起哉/大鷹明良/松田洋治 朴勝哲/熊谷真実/内田慈/吉田鋼太郎

15分休憩あるとはいえ4時間近い長丁場。大丈夫かしらって事前の不安は杞憂でした。長さを感じることなく芝居に集中することができました。
ひょんなきっかけてとある蕎麦屋の常連になった男たちが幕末〜開国の波に思うがままにさらされて銀行を始めるというお話。1人だけ明治の浮かれた風に流されず江戸の心意気を守り通した河北新七が、初めて堰を切ったように自分の気持ちを語るシーンがあって、その台詞が素晴らしく良かったんだけど日が経って忘れてしまったー。ああ…
芝居を板に乗せる覚悟のようなものを訴える台詞で、それは劇中の登場人物の姿を借りて作者の井上ひさしが言いたいことだったんじゃないかしら。軽佻浮薄な周囲の人物の浮かれっぷりや、西洋に憧れる気持ちもよーく理解できるし、古臭いとどんなに馬鹿にされようとも自分の意思をまげなかった河北新七の信念もよーくわかる。
どこにでもいそうな男たちをモデルに時代の変遷と舞台人である自負を詰め込んだ作品だった。