NODA MAP『オイル』@シアターコクーン

作・演出:野田秀樹
松たか子 藤原竜也 小林聡美  片桐はいり 山口紗弥加 北村有起哉 橋本じゅん 土屋良太 進藤健太郎 小手伸也 山中崇 越志マニング 野田秀樹

うーん………問題作と言えばそうなんだろうけど、私には受け入れがたかった.後半になればなるほどどんどん覚めた目で見てしまい、終演後鳴り止まない拍手に付き合いきれずに席を立ってしまった.そんなに皆感動したの?って不思議だったけど、あとでネットの感想等を見るとどうやら本気で感動してたみたい.ふーん.

役者がどーのこーのの前に脚本にひいてしまった.あまりにストレートすぎるんだもん.基本的にあそこに流れてる感情ってのはある意味共感できちゃうのね.というより共感できすぎちゃうのね.でもそれって思考停止した状態で感情のままに発する「嫌い!」ってのにとても近いもので、正直な気持ちなだけにそう感じる自分を幼稚だなあって思ってた.客観的な判断を放棄した上での感情だと思ってるから.で、そんな状態でこの芝居、一体何のため?って思えてしょうがなかった.だってこんなこと言われなくてもわかってるし、世の中そんな単純じゃないこともわかってるし、そう思う自分しかいないとわかっていてもそれを思う自分を肯定できないでいる思想をこんな公の場でとうとうと聞かされても身につまされるばかりで感動も何もあったもんじゃない.

これで泣いちゃう人とかって普段何を思ってるの?こんなご時世なんだから普段からこんなことくらい考えてるでしょ?あらためて言われなきゃわからない?

富士の台詞を聞きながらそんなことばかり考えてしまった.