秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

伽羅先代萩の通しをみてきました。4時半開始で9時10分過ぎに終了の長丁場。しかも途中休憩が30分と15分という忙しさ。疲れたけれど通しは物語に集中できるので心地良い疲労感。
玉様の政岡に菊ちゃんの沖の井に見所たっぷり。菊ちゃんかっけー。こういう凛とした役が似合うわね。今回古い型とのことで松島は登場しません。八汐は歌六さん。
久しぶりに見たら子供達のいじらしさと我慢強さにホロリ。そして当時の犠牲を強いることに対する圧倒的な正義感にあらためて愕然とする。これにしても寺子屋にしても主君のためお家のために実の子供を犠牲にすることに対する躊躇の無さときたら。そして必ず立派に死んでいった子供を嘆くと同時にあっぱれと褒める。価値観が違うのだなあと思わざるを得ない。
まま炊きの場面ではお腹を空かした子供がもう立てないくらいふらふらなのにお母さんときたら歌を歌って主君を慰めろと無茶な注文を。これ歌舞伎のあどけない演技だから笑いを起こるけど、最近のこましゃくれたリアル演技する子役がやったらとてもじゃないが笑えない虐待シーンになりそうよ!
同時に最後の細川様ときたら刺されて息も絶え絶えな外記左衛門にひとつ歌え舞えとこれまたむりゃぶりを。いやそんな場合じゃないだろう。早く医者呼んでやれやって思うけど息子も親父に歌わそうとするし細川様ときたらやけに満足気だしで感動的な場面なのになかなかにおかしい。
とはいえ、前半の女の戦い、後半の男の戦いどちらも見ごたえありました。先代萩は心理劇として非常に良くできいるなあと改めて思った次第です。