ホリプロ×ナイロン100℃『ドント・トラスト・オーバー30』@青山劇場

【日記より】
ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出、ユースケ・サンタマリア奥菜恵主演の『Don't Trust Over 30』を青山劇場にて見る.7時開演10時半終演という相変わらずの長さには参ったけど、実際見てるときにはそれほど長いと感じなかった.ナイロンファンの間では評判が良くなかったのでどれほどつまらないのかと思いきや、普通におもしろかった.5列目センター寄りという役者の表情がわかる席だったのも大きい.ただ青山劇場って広いのね.5列目だというのにやけにステージが遠く感じた.
ケラ初のミュージカルで鈴木慶一が音楽を担当していた.ムーンライダースファンには馴染みの曲もあったらしいが全然知らないのでわからなかった.先日見たオケピより耳馴染みのよい曲だったからCDを買おうと思ったのに、CDタイトルの「ムーンライダース」の文字で役者が歌ってるかどうか確信が持てなくて買えなかった.久しぶりに聞いたたまの歌声がすごく良かったんだけどなあ.

ユースケはユースケそのままでOKな役どころだったこともあり印象良し.ただ歌うには声が悪すぎなのが残念.奥菜恵は可愛かったし声も一番通ってた.上手いんだか下手なんだか微妙なところが魅力的.秋山さんはいつものごとく大迫力でかっこよい.きれいなお嬢様からゴミ箱あさる浮浪者までと幅が広いわあ.

ナイロンの役者では犬山さんが良かった.猿の着ぐるみをあんなに可愛く着こなせる女優も珍しい.峯村さんにはもっと活躍してもらいたかった.そうそう、さすが青山劇場というか、いろんな人がフライングしまくってて、そのあまりの脈絡のなさに笑った.なにもそんなに飛ばなくても.

9.11以降、物を創るということにおいてその影響を受けざるをえない、または影響を受けたものを創らざるをえない状況になってるのかしら.『オイル』『孤独なパイロット』に続きケラさんまでも戦争を背景に持ってくるとはね.表現者として世の中とリンクした何らかの問題定義をしたいという気持ちはわからないでもないが、単純に気晴らしとして芝居を見たい私のような者にとっては現実世界を思い出させるようなものはあまり嬉しくない.オブラートに包んで欲しいと思ってしまう.

会場にて小須田さん目撃.



長い、中途半端などあまり良い評判が聞こえてこず心配してたけど、実際見てみたら普通におもしろかった.ケラさん独特のナンセンスが歌にも表れてて楽しかった.スライダースを知ってたらもっと楽しめたんだろうなあ.たまの生歌はとてもいいね.上手いとか下手とかじゃなくて、歌で何かを伝えてる歌い手の歌だって思ったもの.

ユースケは自分の持ちキャラそのままの役だったせいか、いつものイメージのままでそれがかえって好印象に繋がってたように思う.期待を裏切らないもん.ああ、これがユースケねって安心して見ていられた.GSっぽい衣装がやたら似合ってたしほぼ出ずっぱりで頑張ってた.ただ歌はいまいち.声が悪すぎる.

奥菜恵は相変わらず目がくりくりしてて可愛いかった.オレンジや黄色といったポップなデザインの衣装がキュートで、パンチラ(死語?)も何のその!生意気な小娘役を嫌味にならずに演じられる女優だね.青山劇場なだけにやたらとフライングが登場したけど、一番きれいにフライングしてたのが彼女だった.

秋山さんは毎度のことながら貫禄たっぷりでいい女っぷりを披露してくれました.歌も抜群.かわいいきれいなお嬢様も薄汚い浮浪者もどちらも見事で、特に下品なことをかっこよく見せられるのは素晴らしい.ほんとに素敵な女優だ.

ナイロンのメンバー言うことなし.今回は犬山さんが良かった.間近で見る犬山さんはワンピースが似合う可愛い女性だった.猿の着ぐるみ姿があれほど似合うのもすごい.峯村さん、松永さん、新谷さん、村岡さんとナイロンは良い女優が揃ってる.

井上順はもう少し使い方があったんじゃないかなあ.せっかくGS本家が出てるのに出番少なくて残念だわ.もうちょっと活躍してほしかった.


同じタイムスリップ物のナイス・エイジの比べて比較的きっちり決着をつけていたから、ある意味わかりやすい展開のお話だった.ただこのところどれもこれも戦争の話題がつきまとってちょっとうんざり.ケラさんまでも戦争とからませますか……