マシュー・ボーンの『くるみ割り人形』@東京国際フォーラムCホール会社の女の子2人と一緒に見に行った.チラシのイメージからもっとはじけた物を想像してたけど、意外にオーソドックスで肩透かしをくらった気分.マシュー・ボーン物を見るのが初めてなので、これが彼の持ち味なのかダンサーがこうしか踊れないのか、そこのところの見極めがつかなかった.


これってバレエというよりはダンスと言った方が正しいよね.この踊りをこういう風にアレンジしたかってニヤっとするところもあって、古典バレエ版と同じ音楽を使っているので元ネタと比べるのはおもしろかった.ただ見ててワクワクする感覚に襲われることがなかったのが残念だ.


古典バレエでは一糸乱れぬコールドとプリンシパルのテクニックを堪能できるんだけど、今回のは踊りを堪能するという点ではまったく物足りない.振り付けの特色なのか、見せ場の場面でオオッと唸るようなものがなく、全体的に踊りが散漫な印象を受けた.そもそもクララ役の女性ダンサーの体格が良すぎてどこのおばちゃんかと思ってしまった.みんなで同じ振りを踊る場面でも揃ってなくてバラバラなのは、ストーリーにおけるキャラクター重視の振り付けだからなのか、それともダンサーのせいなのか、そこのところが気になってしょうがない.個人的には同じ振りならきっちり揃えて踊って欲しいから、せっかくの集団ダンス(?)も感動できずじまい.フレディそっくりさんのムキムキダンスなんかはきっと笑いどころだと思うんだけど、いまいち中途半端なんだよなー.ポップでカラフルな衣装も、どうせやるなら昔見たアメリカンバレエシアターのラクロワくらいやって欲しかったし、エンターテイメント寄りにはじけるなら右近さん並にはじけて欲しいと思うのはやっぱり無理な注文かしら.ねずみとの戦いを恋のライバルとの戦いに変えたり、そういうストーリー上の変更はとてもおもしろい試みだと思うからこそ、踊りはもう少し古典寄りでお願いしたかった.やはり私はバレエならば美しいダンサーの高度な技術を見たいんだなあって確信した.


というわけでなんだか消化不良.来月のマラーホフを心ゆくまで堪能することにしよう