ク・ナウカ『ウチハソバヤジャナイ』東京芸術劇場小ホール

【作】ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【演出】宮城聰[前半]　外輪能隆[後半]
【出演】吉植荘一郎　野原有未　奥島敦子　桜内結う　日比大介　牧野隆二　稲川光　山本智美　パニス・パリ　阿部一徳　杉山夏美 高橋昭安　佐々木リクウ 片岡佐知子 たきいみき　加藤幸夫

ク・ナウカとケラさんの戯曲という不可思議な組み合わせに興味を持ってチケットを取ってみた．今回前半部分と後半部分の演出家が変わると言うのもウリらしい．前半はいつもの宮城さんで後半は外輪さんで、誰が見ても一発でわかるほど演出の違いが激しかった．前半はリズム楽器の音にあわせた凝った衣装にこってりした演出だったのが、後半は白一色のシンプルな衣装で大声を出し駆け回り、体の動きを見せつける演出だった．どちらもおもしろく1粒で2度おいしい芝居だった．

BSで放送された『エレクトラ』のように普段は古典悲劇を中心に文楽的手法で演じている真面目な劇団という印象が強いク・ナウカが、コメディーといえどもケラさんのようなナンセンス物に挑戦してどうなるものかと思ったが、これが意外といけてた．かなり笑えたもん．後から思い返すと、役者の演技というよりは初期のケラさん独特の戯曲そのものを楽しんだという感あり．普通にナイロンの役者が喋ってる姿が思い浮かぶほどケラ色の強い戯曲だった．特にマチルダは峯村さんの口調が浮かんでくるくらい峯村キャラだった．あとでナイロン再演時のキャストを調べたら本当に峯村さんがやってた．やっぱり．アルジャーノンは犬山さんだろうって思ってたら、こっちも本当に犬山さんだった．ナイロン版を見ていないのにここまで役者が浮かぶってのはすごいな．

生初見のク・ナウカは女優陣が美人過ぎ！個性派で売る女優の多い小劇場界でここまで美人揃いなのも珍しい．メークも綺麗、スタイルも良い、そんな女優陣達がケラさんのなさけなーいキャラを演じているということ自体に慣れるのにしばらく時間がかかった．いや、でも綺麗な女性を見るのは楽しいです．

男性陣ではなんといっても医者を演じた2人組がおもしろ可愛かった．いい具合の力の抜け加減が良かった．実をいうと作家を演じたデブい男性が暑苦しくて苦手だったんだけど、ナイロン版が藤田秀世だと知り、あれはああいうキャラなんだと納得した．

次はいつもの古典劇を見に行ってみよう．