PARCO『夜叉ヶ池』@PARCO劇場 

演出:三池崇史 脚色:長塚圭史 原作:泉鏡花 
武田真治 田畑智子 松田龍平
松雪泰子 遠藤憲一 きたろう
綱島郷太郎 涼平 鈴木ユウジ 森川涼 蛭子直和
萩原聖人 丹波哲郎

地震地震です!
18時開演だったからまさに開演直前に揺れまくり.
時間ギリギリで会場に駆け込んだ途端、一斉にみんなが上を向いてざわざわし始めたから何事かと思ったら天井のライトがグラングラン揺れてた.がしがし歩いてるから気づかなかったー.
「すみませんすみません」と間を空けてもらって席へ向かう途中で第2弾.うわ、さすがにちょっと歩くの大変.
こんなに続けざまに揺れるのはいくらなんでもおかしいと思い、せめて震源地だけは知りたいとHさんとimodeのニュースサイトをチェックするも地震直後に更新があるわけもなく、ドカンと大きなのが来たらこの場所じゃ逃げられないなあって思いつつ開演です.


武田君と田畑智子2人きりのシーンで始まったものの余震が何度もきてセットまでミシミシ揺れてるし、やってるほうも大変だけど見てるこっちも落ち着かない.
武田君が地震をネタにアドリブ入れて笑いを取るなど和ませようと努力をしてたけど、思わず客席がざわめくくらいの余震が来た時にはさすがにしばらく芝居が止まってしまった.その時には松田君も舞台にいて、松田君がずーーーっと袖の方を見てリアクションがなかったの.袖の指示待ちしてたのかなあ.武田君の台詞で一応芝居が続いて、その後は松田君も武田君の白髪カツラのことを「地震のストレスか?」ってアドリブ繰り出すくらいの余裕を見せてた.


そんなこんなで前半は舞台の上も客席も全然落ち着かないという一種特殊な状況だった.
でも長塚さんの脚本が泉鏡花とは思えないほど砕けた言葉使いを多用していて、割といまどきの小劇場テイスト満載だったからところどころ笑いながら見ることが出来たのが良かった.
出演者、演出共に舞台畑じゃない人が多かったから実はあまり期待してなかった.でもいいじゃん!おもしろかった!
三池さんの演出は、ちょっと一本調子ではあったけど比較的オーソドックスで落ちついたものだったので見やすいものだった.シンプルでスタイリッシュなセットの遠り、演出もシンプルかつスタイリッシュ.ただそれが白雪姫のシーンでは物足りなかった.あそこはもっと幻想的にするなり雑多な感じにするなり空気を変えて欲しかった.
そして白雪姫松雪泰子の大げさ演技は笑うとこなのか本気なのか悩みながら見てしまった.演出の狙いとしては笑うとこだと思っていいのかしら.でないとあの演技の趣旨が納得できない.


武田君はラスト持ってったねえ.さすがです.これを機にまた舞台にどんどん出て欲しい.
田畑智子は声がいい.松田君は声が弱いなあとは思うものの飄々とした雰囲気で気負いの無い佇まいが良かった.でも多分映像のほうがオーラを感じるような気がする.
敵役のきたろう、遠藤憲一萩原聖人の3人は安心してみてられた.


圧倒的だったのは丹波さん.もう無敵です.ツッコミ不可.この揺るがなさは美輪さんレベル.
武田君の腕の中で死んでいくシーンではあまりのマイペースっぷりに笑いを堪えられない武田君.台詞が揺れてるよ!
「こういう台詞がは噛んじゃいかんなあ」って淡々と言われちゃ、そりゃ笑うわな.「変なじいさんで」って武田君もアドリブかまして応戦.
丹波さんはカーテンコールでも常にエスコートありの特別扱い.おもしろかったなあ.


夜叉ヶ池って岐阜なんだよね.行ったことないけど一度行ってみるのもいいかな.
SHIROHの本チラシが登場.かっこいい.昭和初期の少年雑誌の挿絵のような残酷絵がいい.このチラシのイメージ通りだとしたら期待できそうかな?