北原亞以子『歳三からの伝言』

歳三からの伝言 (講談社文庫)

歳三からの伝言 (講談社文庫)

新選組好きには有名な小説ですね.
久しぶりに土方の小説を読んだら、読み進むのが物凄く辛くなっていた.前は「泣ける〜」と思いながらもどんどんページが進んだのに、今は函館が近づくと辛くてページをめくるのが難しかった.ただ比較的情緒に流されない淡々とした語り口であったし、戦いの様子や細かい状況説明が短くあっという間に終わってしまったのでそれほど感傷的にはならずにすんだ.
美乃は歳三に絡む女性としてはかなり好きなタイプ.燃えよ剣のお雪さんはいかにも男性が理想を投影したってタイプでゲーッて思ってしまったけど、美乃はカッコイイ女性で憧れることができた.
しいて言えば戦いの描写がわかりづらかったなー.同じ女性作家の『歳三往きてまた』で、戦場の様子だけでなく戦略の解説などもかなり詳しく書かれていたのとは対照的だった.