第45回『源さん、死す』

マトリックス効果の是非はまずはおいといて…


とにかく鳥羽伏見の戦いなのに悲壮感を全然感じなかった.新選組の面々が戦いの中で水を得た魚のように盛り上がってるのは別にいい.あのメンバーならさもありなん.
ただ戦ってるという実感が全然わかなかった.銃声は聞こえるけど敵の姿がないし情勢があれじゃさっぱりわからない.だから錦の御旗が立ったところで、そのインパクトを全然感じることが出来なかった.
まあ、そのおかげで覚悟していた幕軍側のやるせなさみたいなものを感じなくてすんだけど、なんだか物足りないのも確か.かろうじて淀城が城に入れてくれなかったという台詞で、味方だと思っていた藩が寝返っているんだなあというのは感じられたけど、前日まで幕軍側だった藩が日が開けてみたら官軍側についてたっていうのっぴきならない切羽詰った状態を描写してくれたら、あの時の新選組の状態がもっとよくわかったのに.


鳥羽伏見の回だというのに近藤が主役のせいか大阪城のシーンが多かったのも不満の一つ.近藤のシーンそのものには文句は無いけれど、いかんせん時間配分があれじゃ中途半端じゃないだろうか.鳥羽伏見の戦いを基本知識として持っている人はあの裏の状況を補いながら見ることができるけど、知らない人は何がどう大変な戦いなのかわかったんだろうか.錦の御旗が立ったことと慶喜が大阪からいなくなっちゃうことの衝撃みたいなのをドラマだからこそもう少しインパクトもって描いてくれても良かったのに.
あ、そういえば慶喜が「江戸に帰る」と言ったのは十分強烈だったな.後ろに控える容保様と弟君が不憫でなりません…


源さんはというと、あの空気を切る弾道と刀に跳ね返る弾とのダブルショックで呆然とし、その後の良いシーンもぽかーんと眺めてしまった.源さんはもちろん土方や島田、山崎などみんないい台詞もらっていい演技してるのに〜.


あそこはあの源さんのマトリックスCGだけでなく、それ以外の描写も変だったなあ.特に島田が投げた木にウワーッて薩長軍が倒れるとこなんて「そんなんあり?」って驚いちゃった.なんていうか……ベタ過ぎる.あの一連のシーンは悲しいというより照れくさいとう印象が先に立ってしまった.


そしてバリケード攻防戦、銃声、山本君、浅利君とくればレミゼでしょう、取り残される浅利君がまるでガブローシュのようでした.ここに容保様の弟役の高橋一生くんがいれば3代のガブローシュが集結するというレミゼファンにはたまらないシーンになったのに.というかこの場合の悲壮感は確実のレミゼのほうが上だったなあ…



ラストの局長のもとを訪れる源さんというのにも驚いたけど、こっちは香取君と小林さんが凄く良い芝居をしてくれたのでヘンテコな青い光は忘れることが出来た.香取君は本当にいい表情をするようになったねえ.源さんの一言一言で徐々に表情が変わっていくのが凄く良かった.


BSで見てもまだ「よーわからんなー」ってかなり冷めた視点で見てしまったけど、録画したのを見たら最後の源さんと局長のシーンがかなりきた.あそこは特殊効果すら忘れさせる良いシーンだ.