第48回『流山』

大河ファンの間では「とうとう流山だよ〜」「どうしよう〜」と浮き足立っていたにも関わらず、これまでも比較的大丈夫だったから今回も平気だろうと思ってた.
甘い!甘いよ!>自分
今までは「あ、ここ泣けるかも」「このままだと泣いちゃうかなあ」ってどこか冷静な自分がいて感情を制御しつつ見れてたのに、今回は気づいたらぶわーっと泣けてきて、そのまま寝られなくなりました.なんだなんだ!どうなったんだ!


野田秀樹のトメに驚き、すかさず女性に色目を使う歳三に笑いながらもうっとりし、古田新太@有馬のかっこよさと存在感に惚れ惚れし、呼ばれもしないのにやってきた捨助にハラハラし、有馬と互角に対峙する近藤に痺れ、その辺りまでは良かった.
隊士達の前で土方が近藤を一喝する場面も大丈夫だった.
コルクのシーンもTV誌等で見てたから大丈夫だった.
というか、柱にもたれて立ってる土方を見た時は、どこの少女漫画かとあまりのベタな演出に笑いそうにすらなった.


が、土方と近藤の抱擁場面で決壊.だってまさか2人があんな表情を見せるなんて…
近藤が肩を撃たれた時にあれだけ激高した土方のことだから、さぞかしいきり立って近藤を止めるだろう.で、そんな土方をいつものように近藤が宥めるんだろうなあって思ってた.なのにあんな優しくて落ち着いた顔で近藤を抱き締め、しかも何かを祈るように目を閉じるなんて.そして対する近藤がまさかの涙目.
目を閉じた土方と涙を浮かべた近藤.
二人のこの態度に本当に本当にびっくりして、もうそこから先は制御不能
なんとういか、感情あらわにして喚いたり泣き叫んだりされるよりも、こういう静かで淡々としたやり取りのほうがずっと心に痛い.
でもって、近藤を一人でポツンと待つ有馬の姿がまた泣かせるんだもん.


土方との約束を守って不器用なくせに毅然と嘘を突き通す近藤、そんな近藤をじっと見守る有馬、これだけでもやばいのに、最後三谷さんはこうもってきましたか.
最後の最後にいつもの人の良い局長に戻ってしまった近藤.「誠」を大切にした近藤だからこそ、加納の表情にこれ以上彼を苦しめることが出来なくなったんだろう.
ここでの2人の表情だけの演技のなんと素晴らしかったことか.こわばった顔が徐々にほころんでいったあたりで、あ、やばい、局長自分から言っちゃうよ!って、どう頑張っても近藤斬首という結論は変わらないのに絶望的な気分になった.
でも「お久しぶりです」といった近藤の表情はすべてを達観してた.ああ、この人はもう自分の運命受け入れちゃったんだなあ.でも局長「一世一代の大芝居だ」って土方に約束したのに……
かっちゃんが死んでトシがどれだけ悲しむかわかってるくせに……


そして古田さん@有馬、なんて顔をするんだ.
香取近藤、小原加納、古田有馬と、みんな凄い.凄すぎる.
1年という長い期間、当て書き三谷脚本、若い役者達、現場の熱気など全てのファクターが上手く作用して、もはや全ての登場人物が役者が演じているという段階を突き抜けてしまっている.こんなドラマに出会えることはそうそうあることじゃないよ.
ったく、なんて作品を作ってくれたんだろう.


「俺がここまでやってこれたのはお前がいたからだ.お前がいたから俺はなんとか踏ん張れた.辛いこともあっただろうが今まで良く助けてくれた」
「あんたはどうだったんだよ.あんたを悩ませてばかりいたような気がする.」
このやり取りは、ドラマの近藤と土方でもあり役者としての香取慎吾山本耕史としての言葉にも聞えるという三谷脚本ならではの不思議さがあった.

沖田や斎藤、永倉や原田など他にもめいっぱいエピソードが詰め込まれていたけれど、今回はもう近藤と土方、そして有馬の3人にぜーんぶ持ってかれました.

といいつつ、これだけは言わねば.
満を持して登場した古田新太
ばんざーい!ばんざーい!待ってた甲斐があった.
初期の頃からこれだけ小劇場役者が出るんだったらこの人が出ないはずがないとずっと待ちわびてただけに、今日の有馬には大満足.
かっこよかったー.
土方びいきの私ですが古田有馬の前にはさすがの土方も貫禄負けでした.
古田さんが良く言う「人間力」とはこのことですか.