ジョルジュ・ラ・トゥール展@西洋美術館

これだけ一気に見られることはほとんど無い貴重な展覧会です.適度な展示数なので集中力を切らさず見ることができた.
真作が40点あまりと非常に少ないので、オリジナルを元にした模写絵や工房の作品なども多数展示してあった.一口に模写絵といっても、同じ作品を元に違う画家が描いた2つの絵が並べて展示してあったりするとその違いが一目瞭然にわかっておもしろい.


全部で6点持ってるルーブルからはそのうちの1点が来ていて、残り5点は先日ルーブルで見てきたのでラッキーだった.しかもたまたま今朝録画しておいた『迷宮美術館』でラ・トゥールの作品を見てきたばかりなので、より興味深く見ることが出来た.
ラ・トゥールといえば闇と光.同じく闇と光といえばカラヴァッジオレンブラントが有名だけれど彼らのような劇的な対比ではなく、物音一つしない夜の闇の中ほのかにゆらめくともし火に照らされる穏やかな生活がラ・トゥール的な表現.特にほのぐらい光の中で沈思するマグダラのマリアの姿には感銘を受けた.2月19日の『美の巨人』で紹介されて以来気になっていたのでもう少し見たかった.
『ダイヤのエースを持ついかさま師』等に代表されるシンプルな背景の中に浮かび上がる静かなドラマ性も特徴的だった.

こうやってまとまって見るとラ・トゥールの画風が当時人気を得ていたのがなんとなく理解できた.
実際に同じような灯りが存在する居室の中で見るとまた全然違うんだろうなー.


小企画『マックス・クリンガー版画展』

常設展示の入り口でポスターをみかけ急遽常設展にも突入.マックス・クリンガーの版画は大好きなの.
《イブと未来》《ある生涯》《ある愛》の3つの版画連作が展示してあった.
特に気に入ったのは《イブと未来》.
社会批判的な面がより強い作品よりは象徴派のような幻想的作品のほうにどしても惹かれてしまう.