パルコプロデュース『LAST SHOW』@パルコ劇場

【作・演出】長塚圭史
北村有起哉 永作博美 風間杜夫 中山祐一朗 古田新太 市川しんぺー

細かい感想後ほど.
おもしろかったー.家族の話ってことでこういう話を書いちゃう長塚さんが怖ろしい.
愛情の何たるかを書いてるんだよねえ.
でもって結構感動するんだよねえ.


今日は大倉孝二くんが見に来てた.


【追記】
パイプがむきだしの無機質な室内セット.舞台の奥の壁が見えるという隙間の多い空間使いがおもしろい.
女優と結婚した地方局の新米ディレクターの家庭に、長らく行方不明だった父親が訪ねて来る.息子に復讐しようとする父、女優のファンだという動物愛好家、ディレクターの同僚のカメラマンが一つ屋根の下で繰り広げる愛憎劇.



父と息子、夫と妻、母と子など家族を構成するFactorを主軸に、いろんなタイプの愛情を散りばめた作品だった.比較的ひねりのないまっとうなテーマというか主張を長塚テイストで包むとああなるわけか.
長塚さんが事前のインタビューで「凄く嫌な話になる」って言っていた.確かにイヤな話ではあったけれども、後味が悪いかというとそうでもない.
愛するあまり強くもなり弱くもなり気が狂いもする.どの人も自分がこうと決めた道をとても純粋に貫いていて、裏切られても打たれてもひたすらひたむきで、だからこそ狭隘にもなり人をどんどん傷つける.その一生懸命生きてる様子に感動してしまった.
相変わらず目を背けたくなるような描写や展開があるものの、長塚脚本はそれが単なるこけおどしで終わらない.いきなり殴られる、いきなり監禁される、いきなり刺さられる、いきなり食べられそうになる(!)など不条理の連続なのに、翻弄されまくるだけの人がいないので安心してみていることが出来た.
そして、ラストのファンタジックなマジックが登場しても今回は役者の力で納得させられた.


この難しい脚本を見事に演じきった役者陣は皆本当に素晴らしかった.あれだけ個性的な役者が揃っているのに、その個性を殺すことなく上手く馴染んでいた.ああいうアンサンブルを作ることが出来るというのも役者の力量の一つだよねえ.
2列目センターで見た風間さんの目つきが本気で怖かった.舞台上で近寄ってこられることすらゾッとした.コワーッ!
古田さんは緩急自由自在で相変わらずの上手さです.社会道徳を平然と超えてしまう狂気を愛嬌をもって演じられる人です.でもって啖呵切ると身震いするほどかっこいい.
中山さんは古田さんとはまた違う味わいで人でなしを魅力的に演じてた.腹から血を流しながらも「あ、大丈夫大丈夫」ってカメラ構えてる姿に笑わせてもらいました.
市川さん、一体全体なんの物体が現れたのかと思った.永作ちゃんの股の間からヌルヌルになって登場するんだもん.普通に気持ち悪いよ.そんな気味悪い赤ん坊なのに一番常識的なことを一番真剣に語ってるそのギャップにやられた.
永作博美、全ての出来事のきっかけである女性を可愛らしく演じてた.童顔で細くて一見いたいけだけど絶対に負けない芯の強さを感じるので、今回のような巻き込まれ被害者をやっても痛々しくならない.マヨネーズかけられて切れてるところが可愛かった.
一番まともなのが有起哉さんです.まわりの異常な人達の行動を一手に引き受けなくてはならない一方で、ベタな奇麗事を述べなければならないという難しい役です.真っ向勝負でいい人を演じてたので風間さんや古田さんの怪演が活きてた.
実力者ぞろいの舞台で、カーテンコールが気持ちよかった.