夏目漱石『彼岸過迄』

彼岸過迄 (新潮文庫)
久しぶりに読んだら、なんだかとっても難しかった.前は単に「市蔵さん、素敵〜」って萌え心で読んじゃってたしな.
そうはいっても敬太郎主軸の前半より市蔵と千代子メインの後半のほうが俄然おもしろかった.「恐れる男と恐れない女」というテーマは身に染みるところがあって心臓に悪い.
市蔵の苦悩を前にする松本になって市蔵の苦悩を取り除いてやりたいっておこがましいことすら考えてしまうのは何故かしら.「かわいそう」というのは非常に傲慢な感情だけれども、市蔵を見てるとストレートに「かわいそう」って思えてくる.だからこの後半の市蔵の独白部分はいちいち突き刺さってきて消耗するので大変だ.結局市蔵タイプが好きだってことよね……