肉筆浮世絵展『江戸の誘惑』@名古屋ボストン美術館

http://www.asahi.com/boston/
ボストン美術館が所蔵する肉筆浮世絵が里帰りです.あちこちで浮世絵の登場人物の書き割り(?)が出迎えてくれました.


60数点と多すぎない展示数なのがいい.集中が途切れず最後まで楽しく見ることが出来た.
チラシにも使われている北斎の『唐獅子図』*1、『提灯絵 龍虎』*2が好き.北斎展で多くの肉筆画を見てからというもの、より生身の画家が感じられる気がして版画より肉筆の方が好きになった.
唐獅子図は迷いの無い線に見とれてしまった.写真だと唐獅子の黒線の勢いが全然出てないのが寂しい.提灯絵は解体されて保管されていたものを、今回の展示に合わせて提灯の形に復元したものだとか.球面に描いたものを平面に伸ばしてしまったらそりゃ魅力半減だものね.北斎の虎はどうしてこんなに夢見るような眼差しをしてるんだろう.
李白観瀑図』の瀧と岩の簡略化された表現は版画の浮世絵に近かった.北斎の美人がはあまり興味をそそられるものではない.
その他、鈴木春信の肉筆画の女性は版画と同じく華奢で無垢な女の子っぽさで満載だった.
鳥山石燕百鬼夜行図巻』はおなじみのウブメの肉筆があった.
絵として楽しいものと見立て絵や役者絵のように題材が面白いものと2種類があるけれど、強く印象に残るのは絵として優れているものが多い.