北九州芸術劇場Produce『地獄八景・・浮世百景』@世田谷パブリックシアター

【監修】桂米朝
【脚本】東野ひろあき
【演出】G2
【出演】佐藤アツヒロ 高橋由美子 山内圭哉 松永玲子 小松利昌 出口結美子 桂吉坊 市川笑也 桂吉弥 升毅 松尾貴史

前作のある意味こじんまりと趣味の世界を楽しむ手作り芝居といった雰囲気とは異なり、結構なエンターテイメント芝居に仕上がっていた。前作の地獄八景亡者戯は確かそういうタイトルの長ーい落語の作品があったと記憶してるんだけど、今回の作品はいろんな落語の寄せ集めなのかしら。瀬をはやみ…のエピソードは絶対に落語で聞いたことがあったのでようやく気づいた次第。それまでは前作の続編の落語話があって、それを芝居でやるのだとばかり思ってた。
全編関西弁で人情と笑いと関西色が満載のカラフルな芝居で2時間半があっという間。落語界や歌舞伎界といった異種格闘技風な配役もありお祭り気分に溢れてた。
若旦那と小糸の恋物語を主軸にいろんな話を絡ませてあり飽きることがない.ほとんどの役者が一人何役も兼ねていて、一応アツヒロ君と裕美子ちゃんがメインではあったものの誰が主役というよりは様々な登場人物の入れ替わりを楽しむ感が強かった.


芝居後には脚本の東野さんを交えてのアフタートークがあった。チケット取った時には知ってたかもしれないけどすっかりそんなことは忘れてたので、ありがたいと思う前に帰りが遅くなると憂鬱になった。罰当たりめ
ゲストとはいえ司会は東野さん.出演者全員揃い踏みで関西人でない出演者の関西弁苦労話にひとしきり花が咲いていた。アツヒロ君が一番苦労してたらしく10秒話すのに5回くらい関西弁のダメ出しくらってたとか。松尾さんに言わせると、最初は外国から来た人みたいだったのが最近は関西から2,3年外に出てた人くらいになってきて急激な進化を遂げてるらしい。大阪に行く頃にはネイティブ並みになってるかもとのこと。でもトークショーでも全員関西弁で頑張ってたけど、その時もしっかりダメ出しもらってたよ。
由美子ちゃんは同じ言葉でも単体で言うか他の言葉と組み合わせて言うかでイントネーションが違うのを覚えるのが大変だったと。
吉弥さんは落語にはない発見が一杯あるとのこと。今回も最後のほうでアツヒロ君がお酒を飲む前に小糸の位牌を2回見たのがすごく良かった、ああいうのを見るとキュンキュンするんだとか。落語では型があるのでああいう何気ない仕草をすることに思いもつかずびっくりするんだとか。とっさに「アックンが」と言ったら客席が沸いたので「こんなことで喜んでもらえるんですね」と嬉しそうな吉弥さんが可愛かった。
同じく落語家の吉坊さんは、相手役がいることに慣れるのが大変だったとか.落語だと自分が思い描いた場所に自分が想像する人物がいるものだけれども、芝居だとリアルな人間がいるわけで、そのことにびっくりして台詞を忘れちゃうんだって.
いらんことをする松尾さんが好きという松永さん.他人が言う好きな台詞が全部松尾さんのアドリブだった.ちなみに開演前のアナウンスは松永さんが正真正銘生粋の大阪弁で喋ってるそうで、だというのにアンケートとかで「不自然」だとか「京言葉」とか指摘されまくりなんだって.
「いついかなる時も顔が邪魔」とさんざんな言われようなのが小松さん.升さんとアツヒロ君が絶対に顔を見てくれない、しかも「見ないから」と宣言されたらしい.松尾さんも遊女役のとき大変だって訴えてた.沸点ギリギリになって出て行くそうだ.
キャストの中のいじられ役はどうやら出口さん.キリッとした美人の見た目とはウラハラに相当な天然ちゃんとみた.「神様が中身を入れ間違えた」とまで言われてた.とにかく彼女の一挙手一投足にキャスト全員爆笑.
どうやら明日も明後日もアフタートークがあるらしいけど、東野さんによれば「一番面白いところからふったから今日が一番面白いはず」だとのことです.