TOMMY

カーテンコールのライブが一番盛り上がってた.ROLLYはやっぱギターかきならしてライブやってんのが一番かっこいいよ!
感想は後ほど.


【感想追記】
あいかわらず何の予習もしなかったのでチケット確保当時の情報すら忘れ去り、いのうえ演出、ROLLY出演、中川君主演、オールTHE WHOの楽曲ということ以外何も知らないで行った。おかげでキャストが出てきても誰が誰やらわからず途中休憩で買ったパンフでようやく一致したほどだけど、かえって先入観無しに見れてよかったかも。


TOMMYという作品そのものも全く知らなかったので、第1部でTHE WHOの楽曲を使った割りにどうやらしっかりしたストーリーがありそうだしどういうことだろうって不思議に思ったことがパンフを読んで解決。
なるほど.もともとTHE WHO自体がTOMMYというコンセプトアルバムを作ってたのか。
いろいろとヒントは散りばめられているものの、ディテイルに突っ込むこともなくサラサラと話が流れていってしまうのでちょっととまどってしまった前半に比べ、TOMMYというストーリー自体がバンドのアルバムから生まれたということを知った後半はより舞台が受け取りやすくなった。


とはいえ楽しかったのは実は前半。後半は展開についていけなくて。
教祖に祭り上げられるところとか、TOMMYが満面の笑みでNew Sensation!って歌うとことか、文化の違いとか時代の違いとか、やっぱり予習無しではよくわからないのですよ。で、そういうわかんないなーっていう戸惑いを払拭しちゃうほどのパワーを歌から感じなかった。


私自身何よりTHE WHOの音楽に疎いのが問題なのかもしれないけど(ピート・タウンゼントはソロしか知らないし)、でも曲自体は比較的どれも気に入ったし好きなタイプだったの。なのになんか乗りきれないのはロックオペラと銘打っているのにちっともロックに感じなかったからかな。全体としてなんかゆるーいぬるーい空気が漂ってた。ROLLYとかTHE ACID QUEENとか部分部分ですごいかっこいいパートがあるだけにはがゆいばかり。


やっぱり事前に予想したとおり中川君の歌がダメだった。もともと好きなタイプの声や歌い方ではなく、というかむしろ苦手なタイプだから、今回も彼が主演だということでさすがのいのうえ好きでもチケ取り躊躇したんだけど、それでもROLLY小林十市の名前を見て行こうと決めた。(そしたらいつのまにか小林さんお名前が出演者から消えてた。ひどいっ!)
私の持ってるTHE WHOのイメージって硬派なおっちゃんなんだけど、中川君だとやけに線が細くて小奇麗に歌ってるなーって印象だった。彼の母音をぶつ切りにする歌い方とマイケル・ジャクソンのようなホウッ!とかヒュウッ!とかいう途中で入る合いの手に興ざめしちゃうんですよ。なので彼が歌いだすとサーッと冷めちゃう。一番主軸となるべき人物なのにTOMMYという人物というよりは中川君にしか見えないところも辛い。右近さんとROLLYの両脇にいるバンドのボーカルが中川君ってのがどうにもミスマッチ。それ、路線の違いで解散するでしょ。
パパ役の人はあとでパンフ見たらパク・トンハだった。正統派ミュージカルの人じゃん。道理で。歌は確かに上手い。上手いんだけど酔いしれ具合がどうもずれてるなーって気になった。
私はむしろママ役の高岡早紀のほうが良かったな。
ROLLYはいとこのケヴィンとしての登場はいまいち。あれ?ROLLYってこんなもんだっけ?って思ったものの、ピンボールんとこは良かった。ダッチワイフを客に投げて好き放題やってるライブのあのパワーを出してくれればいいのにーって多少物足りなかった。ロッキー・ホラー・ショーくらいの出番があればまた違ったんだろうな。
THE ACID QUEENの場面が一番かっこよかった。彼女の歌があれだけってのがなんとももったいない。


性的虐待や暴力といった陰惨な出来事とカラフルで絵本のようなグラフィックのミスマッチは、そのアンバランスな雰囲気が逆に良かった。背景をほぼLEDで表現しているのがとても印象に残った。これじゃ近い将来背景セットがいらなくなるなと思いつつ見ていたけれど、芝居の内容にあっていればこういう表現も全然アリだと思う。
ただポップな背景とあいまって日生という広い空間が作品の持つ猥雑さを薄れてしまい、結果としてなんとなーく寒々しい空気が流れてたのは否めない。そのせいか表の世俗的で下世話な世界と音に溢れたTOMMYの内面との落差がわかりづらかった。全体的に内面の世界寄りに映ったのは狙いなのかしら。


ラストのカーテンコールで、ROLLYのギター(劇中だと張りぼてギターだったのが悲しい)、ソムン・タクのメインボーカルで『SUMMER TIME BLUES』をライブ演奏してくれた。
かっこよかったー。一番痺れたのがカーテンコールってのはいいんだか悪いんだか。


あ、そうだ.これってケン・ラッセルが映画撮ってるんだってね.単に映画化と言われても興味持ちませんが、それがケン・ラッセルだっていうんなら話は別だ.見たい!