TALK LIKE SINGING@赤坂ACTシアター

作・演出 三谷幸喜  作曲・音楽監督 小西康陽
香取慎吾 堀内敬子 新納慎也 川平慈英 

チヨさんのご好意で慎吾くん初舞台を見に行くことが出来ました.
しかも!しかも!何と4列目センター!!待ち合わせたチヨさんからチケット受け取ってびっくり.こんな良い席で楽しませてもらっていいのかしらと恐縮しつつも、今後もう二度とこんな近くで慎吾くんを見ることはあるまいと(いいとも観覧でも当たれば別だけど)、今回ばかりは慎吾くん観察に励ませてもらいました.
実は結構苦手な三谷脚本しかもミュージカルってことで構えていたんですが、結果は杞憂に終わりました.ターロウの子供時代からの回想が続く冒頭30分くらいはちょっと厳しい.「聴いてるとこっちも楽しくなる」って説明されるターロウの歌と踊りが楽しいというよりはむしろ滑稽でしょうっていう無理があって慣れるまでに時間がかかった.ミュージカル苦手な人が良く言う「唐突に歌う奇妙さ」を逆手にとって歌うことでしか表現できない主人公を置いたのは三谷さんらしい.ただ日常生活にその設定を当てはめるとむしろミュージカルより珍奇なことになってもいて、その辺の加減はなかなか難しいよね.
Dr.ダイソンによる治療が始まってからは慎吾くんの可愛さ爆発で、治療対象となるターロウの無邪気な魅力が慎吾くんの持つ可愛さと共にこちらに伝わってきた.本人に普通になりたいという必死な思いは全然なさげだけど治療は素直に受けてるターロウと徐々にターロウが歌うことこそ自然じゃないかと思い始める歌嫌いなニモイ先生の関係性がほのぼのとしたやり取りで変わってくるのが微笑ましく、歌うことの楽しさが自然に表現されていた.
最初は真摯に患者のことを考える医者に映っていたのに段々化けの皮がはがれてきた自己顕示欲いっぱいのDr.ダイソンに頭の中のバンドを殺されている場面では、ダイソンがランボー着ぐるみというふざけた格好であるにもかかわらず一人また一人とバンドマンが殺されていくうちに、ターロウがターロウじゃなくなっちゃうっていう不安と焦りみたいなものが沸いてきて切ない切ない.治療に対するのほほんとした態度が嘘のように慎吾くんの表情がどんどん変わっていくの.この歌を殺された場面と最後に歌が復活する場面に表現の見所を全部持ってきたくらいそれまでとは違う演技者慎吾くんがいた.治療の成果として普通に喋れるターロウを見るのがこんなに辛い気持ちになるのもバンドをバックにキラキラ歌ってたターロウを知ってるから.それだからこそ最後に笑顔で歌うターロウを見てとても幸せな気分になった.当て書き基本な三谷さんだからこそ慎吾くんの魅力を最大限に活かした役を書いたんだなって納得.強引な割りにシンプルな脚本なので慎吾くんという強い明るさと無邪気さを持った役者じゃないと平坦な芝居になっちゃったんじゃなかろうか.そのくらい慎吾くんのキャラクターを物を言う作品だった.
そんな慎吾くんの周りは何の心配もいらない芸達者で固められてた.なんといっても川平さんが素晴らしい.素晴らし過ぎて唖然とした.キャラクターの濃さでは慎吾君を上回ってる.それに加え抜群の間と歌と動きとセンスで舞台をこれでもかってくらい引っ張ってた.彼の台詞は8割方英語だったけどネイティブ英語なので非常に聞き取りやすくほとんど字幕を見なくてもすんだ.その代わりニイロ君の英語は逆に何を言ってるのかすぐに入ってこなくて字幕のお世話になりました.
堀内敬子はとぼけたコメディエンヌっぷりをいかんなく発揮してなんとも可愛らしい堅物博士を作り上げてました.慎吾くんと同じタイプの空気をまとった役者さんなので相性が良かったかと.
ニイロ君は長い手足を存分に使いまくって賑やかし役を楽しげに演じてました.縦横にデカい慎吾君と長身の上にさらに爆発アフロヘア&ヒールブーツで巨人になってるニイロ訓を見続けてると縮尺の感覚がずれてきちゃって、途中で舞台に上がるバンドの皆さんがみんなちびっ子に見えてしょうがなかった.2人ともでかい!