ドラマリーディング『オルジァ』@シアタートラム

西牟田さんと手塚さんという魅力的な役者2人が登場するということでチケットを取ったものの、ドラマリーディングって何?オルジァって何?状態のままである.題材はパゾリーニの戯曲ってことだけど、パゾリーニって映画監督よね、くらいの認識です.同行のayaちゃんは映画監督というのにもピンときていない様子.「まーにゃだったら多分めちゃくちゃ詳しいはず」って99%の自信を持っていった言葉が、パンフのパゾリーニ経歴で『王女メディア』の文字を見て確信に変わった.もう何年も前からまーにゃが「何度見ても寝ちゃうの〜」って申告してた映画じゃん.多分まーにゃならパゾリーニホモセクシャルで少年の男娼に刺されて死んだとか、そういうゴシップネタも全部知ってるはずだ(←上演後のワークショップにて得たにわか知識).

パゾリーニに関する膨大な文献の中でなかなか戯曲までは翻訳が回らないということで、今回これのためにようやく日本語に翻訳されたらしい.ドラマリーディングの形としては動きもなくほんとに本を読むだけの第一段階と、少し動きをつける第二段階、音楽や照明までもつける第三段階とかに分かれるらしい.今回はセットも照明も動きもあり、台本さえ手にしていなければ本公演と言ってもいいくらいのものだった.後で4日間の稽古と聞いて驚いた.しかも役者の動きは最低限の段取り以外インプロなんだとか.かなり際どいエロティックな動きが満載なあの芝居が即興だとすると、何をされても動ぜずその場で冷静に対応していかなくちゃいけないってことでしょ.すごいなあ.

年譜を知らないで見てた私ですら政治と性と死を絡めてうんぬんというのはとても60年代的で、そういう人がいるというのはわかるけど自分とはリンクしない遠い話だなあってのが正直な感想.それから、翻訳のせいなのかそもそもの戯曲がそうなのかはわからないけど、声に出して発せられる言葉として台詞がこなれておらず必死に追いかけていかないと取り残されてしまいそうになってかなり疲れた.どうやら会場にはパゾリーニファンも多数詰め掛けてたようで(あとのワークショップの質問等から推測)、ああいった感情に同調できる人にはあの台詞でも馴染みやすかったのかもしれない.私はというと、単純にあの難解な台詞をほとんど噛むこともなく滑舌良く早口で捲し立てることの出来る役者の技術にびっくりしてた.