蜷川幸雄演出『ペリグリーズ』@さいたま芸術劇場 

作:シェイクスピア 演出:蜷川幸雄
内野聖陽 田中裕子 白石加代子 瑳川哲朗 市村正親 ほか

昨日と同じく埼京線に揺られ与野本町へ.さいたま芸術劇場はこれが初めてだけど、評判通り遠いですな.よくわからないまま人の塊の後をついていったら会場に到着.お買い得値段で譲っていただいたにもかかわらず前方通路脇の随分良いお席でまさにお得でした.ありがたい.

『ペリクリーズ』はシェイクスピア原作ということだけど、ちっとも内容知りません.知らないが故に話の展開をドキドキしながら見守ることが出来た.ロンドン公演が決まっているからなのか、やたら歌舞伎や文楽の手法が取り入れられていた.『ニンゲン御破産』といい最近は黒子が波の布をゆらすのが流行ってるのか?どうせなら子役を出しての見立てまでやってほしかったかも.

内野さんは『藪の中』に続いて2度目.台詞がたまに幸四郎チックになるのが気になった.市村さんと白石さんの語り部ペアは貫禄勝ち.芸達者とはまさにああいう人を言うんでしょう.田中裕子は可愛かった〜.もういい歳よね?なのに白い少女役がぴったり.外人に受けそうな東洋顔が映えて素敵でした.お話そのものも楽しめたし、こってりした演出も楽しかったし、飽きずに見た3時間だった.


【追記】
楽しかった.ストーリーが古典にありがちな単純でたわいもない話なだけに、早代わりや歌舞伎や文楽、能といった日本の古典芸能から借りた演出がやり過ぎにならず効果的だった.去年見た『ハムレット』と同じく劇団の公演という形をとっていて、同じ人が何役もやる上手い説明になっていた.

松羽目物の背景に能面、黒子の人形遣い、和テイストの豪華な衣装などなど盛りだくさんで3時間飽きることなく舞台に集中できた.鏡、蓮の花、ロープなどは蜷川演出の定番なのかしら.

内野さんは前回の『藪の中』より良かった.老人となった2幕目より精悍な若者姿の1幕目のほうが印象が強い.2幕目はなかなか出てこないしねえ.白石さんは語り部もいいが女郎屋のおかみ役がふてぶてしくて愛敬があって良かった.市村さんも次から次へと早代わりで登場.ガラッと雰囲気が変わるのがさすが.最後の役が落ち着いた物腰で素敵でした.田中裕子は実年齢を感じさせない純でいたいけな少女役がはまってた.

いいもん見たなあってのが一番の感想.