東宝ミュージカル『Les Miserables』@帝国劇場

ジャン・バルジャン別所哲也
ジャベール:岡幸二郎
エポニーヌ:坂本真綾
ファンテーヌ:高橋由美子
コゼット:河野由佳
マリウス:岡田浩暉
テナルディエ:三遊亭亜郎
テナルディエの妻:森公美子
アンジョルラス:吉野圭吾

見ておいて良かった〜.この2人のバルジャン&ジャベールに心から満足してしまって他の組み合わせのチケット取らなくてもいいかあって思っちゃうのが唯一のマイナス点かなあ.といいつつ、岡さんなら見たいんだけどもう山口さんだとチケット無いし…


ミュージカルファンというと大きく歌重視、演技重視の二派に分かれると思う.で、私はどちらかとうと歌重視派に近い.どんなに演技が良くても歌がまずければミュージカルに出るべきではないと思ってる.ただ、問題はどのレベルの歌で満足できるかということ.これはもう人それぞれで線引きは難しいけど、多分わたしのレベルは相当低い.ある程度歌えてれば満足できちゃう.かつ、どちらかといえば好き嫌いが音程よりも声質&歌い方に大きく左右される.


で、今回ミュージカル界の歌えるバルジャンが揃う中で多分一番歌えないのが別所さんだと思う.今井さん、石井さんのバルジャンは未見だが、これまでの歌を聴く限りバルジャンだけぐんと歌のレベルが下がるとは考えにくい.でも別所バルジャンは私的には十分合格点なの.特に前半のバルジャンの荒々しさがよく表現されていて、始めて見たときは『What Have I Done』の怒るような歌い方にはびっくりさせられた.そこの印象が強い分、改心後の優しいバルジャンとの対比が見事だった.バルジャンというキャラクターに声質が合っているのも幸いしたと思う.


高橋由美子は『花の紅天狗』を見る限りとてもファンテーヌには見えそうもなかったのに、ちゃんとファンテーヌになってた.岩崎宏美のファンテーヌに感動した身としてはもう少し声に深みがあるといいなあとは思うものの、最後の三重唱の落ち着いた雰囲気なんかはとっても良かった.


坂本真綾のエポニーヌは想像以上に良かった.声優として彼女の声には馴染みがあるし、エスカフローネの主題歌等で歌も知ってる.どちらかといえば細くて可愛らしい声のイメージから『ON MY OWN』を歌い上げる姿が想像できなかった.でも舞台の上からはちゃーんとエポニーヌの声が聞こえてきてた.普段の声とはまったく別物じゃん.エポニーヌやってる声のほうが好きだわ.


前回歌のダメージが激しかった吉野さんのアンジョルラスは、今回心構えが出来てたせいかやけに熱血漢な演技をおもしろく観察してしまった.アンジョルラスが学生達の中で一番あっつい男になってた.


岡田マリウス、今日は肩の上げ下げが気になってしまった.歌う時に音程と共に肩が上下するんだよねー.いかにも「歌ってます!」って見えちゃって損だと思う.マリウスにあった声質だから好きなんだけどね.


駒田テナは最高ですね.これまで私が見た斉藤テナ、徳井テナ両人とも、一生懸命テナルディエというキャラクターを作っていたのが見てるこっちにも伝わってきてしまって、斉藤さんの演じるテナ、徳井さんの演じるテナという風にしか見えなかったのが、今回はテナルディエが舞台上にいました.素晴らしい.特に「下品にしよう」とか「卑屈にしよう」とか、そういう狙った演技ではなく、自然にテナになっていた.


岡さんのジャベールは盲目的に好きだから感想が言えません.見た目はかっこいいわ歌は素晴らしいわで、もう、一体どうしろというんだ!素敵だー素敵だー素敵だー.まさかこんなにジャベールの登場が待ち遠しい日が来るとは夢にも思ってなかった


【日記より抜粋】
ソワレが別所&岡コンビだと知り、もう居ても立ってもいられずお昼休みに帝劇まで行ってレミゼ当日券を入手.補助席残ってて良かった〜
6時15分に滑り込み今期3度目のレミゼです.


別所さんのバルジャンははまり役ですね.一応主役であるバルジャンに、これまで一度も共感したことがなかったけど別所さんのバルジャンは感情移入できるんだよなあ、いや、違うな、共感はいまでもしないけど別所さんのバルジャンを見て初めて「ああ、バルジャンってこういう人だったんだ」ってしっくりきた.生身の人間として感じることのできるバルジャンだ.ところどころ歌が不安定にはなるものの歌詞が台詞として聞こえてきてバルジャンの心情が良くわかる.あの声とあいまって暖かいバルジャン像が伝わってきた.


岡さんのジャベールはもうっ!素敵過ぎて言葉もない.これまで私が持っていた岡さんのイメージではああいう歌を歌ってくるとは思ってもいなかった.自殺のシーンは前2回も「凄いなあ」って感心してたけど、今日はなんていうのかなあ、息を止めて見入ってしまった.このシーンで泣きそうになったのは始めてだ.8月で終わりだなんてもったいなーい.でももし9月も岡さんにやられてたらとめどなく通ってしまいそうだから良かったのか…


お初の坂本真綾のエポニーヌ、あらいいじゃないですか.普段のほわっとした声しか知らなかったからエポニーヌの曲をどう歌うのか想像できなかったけど、声が違うじゃん.ああいう低くてやわらかい声も出るのね.高音より低音のほうが印象に残った.『A Little Fall of Rain』も良かったなあ.こちらも8月いっぱいで終わりとは残念.


森クミさんは演技もさることながら歌が安定してるから好き.吉野さんのアンジョはやはり歌い方が気になるところだけどバリケードの気迫演技はちょっと見直した.でもクレッシェンドはやめてほしいなぁ….剣持コゼットもお初.最後バルジャンにすがるシーンがとても良かった.


今日はバルジャンを迎えに来るシーンでの高橋ファンテーヌと坂本エポニーヌと別所バルジャンのハーモニーが凄く優しくてきれいで、そこから『The People's Song』のメロディーが静かに始まる流れのあたりはもう大変.泣かさんでくれ…


毎回思うことだけど、改めてこのミュージカルが大好きだと確認した.ただ短縮版から元に戻してくれないものかしら.いつもぼけーっと見てるからどこがどう短縮されたのかよくわからないんだけど、それでもなんとなく違和感がある.今期初めて見たときは学生のシーンがやけに短いように思えたし、バリケードが落ちた後の『Turning』の歌詞に確か「死ぬことなんて教えなかった」って意味の歌詞があったように記憶してるんだけど、そのあたりばっさり切られてるよね.印象的な歌詞だったからなくなってしまったのが寂しいわ.


前回のカーテンコールでは別所さん、岡さん、駒田さんの3人が腕を組んでステージを端から端までスキップしてるというお茶目なワンシーンがあった.今日は別所さんと岡さんが2人で示し合わせて「ゲッツ」ポーズを決めていた.別所さんが軽々と由美子ちゃんを抱えあげたのを見て、岡さんが森久美さんの抱っこに挑戦!そりゃ無謀ですって.恒例の花束投げでは投げた花束がフリスビーみたいに自分の方に戻ってきてしまい驚く岡さんが可愛いくて、劇中のジャベールとは全然違うにこやかな岡さんにくぎ付けになってしまった.


さて、次は31日の岡さん楽日だわ!