『阿修羅城の瞳』

18:30 新橋演舞場
作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
市川染五郎 天海祐希 夏木マリ 小市慢太郎 近藤芳正 伊原剛志 高田聖子 橋本じゅん 右近健一 山本カナコ 保坂エマ 黒石えりか 山田麻衣子 川原正嗣 前田悟 河野まさと 村木仁 インディ高橋 吉田メタル 磯野慎吾 麻美奈央 横山一敏 藤家剛

3度目の阿修羅にて初めての1等席、しかも2列目センターという良席です.6時のチャイムと共に会社を飛び出して客席にてMIHOっちと合流.
3階から見下ろすのと1階目の前での芝居とでは全然違う.殺陣の構成なんかは1階ではよくわからない.そのかわり迫力はそりゃ1階のほうがある.やっぱりベストは両方から見てみることだね.


開始早々面前に現れた天海さんがあんまりキレイで鳥肌もの.遠くからもキレイオーラは感じたけどここまでとは.こうキレイだともう顔見てるだけでいいやって思っちゃう.夏木さんは顔がちっちゃいね!鼻も口もちっちゃくてしかも整ってる.付け爪の色が衣装によって変わるあたり凝ってるわ.


17日からの10日間でまたまた演出に変更が加えられてた.特につばきのシーンに手が加えられてた.気付いただけでも3ヶ所(つばきが出門の首筋の血を舐める、つばきの太股を流れる血、そしてそのシーンでつばきの髪が乱れる)、そのどれもが効果的だったのがさすがだ.こういう演出を加えることによってこれまで阿修羅に比べれば弱く見えてたつばきがよりわかりやすくなっていた.


じゅんさんの再登場シーンではいきなりすごい衣装に変更されてて度肝を抜かれた.なんですか、あの羽は!今日のじゅんさんは絶好調みたいで、染五郎が笑って台詞があやしくなってた.「M!」って叫ばれてもそりゃ驚くでしょ.後ろ向いて肩震えてたもんなあ.


聖子さんはほ〜んと可愛い.今回聖子さんのシーンにも手が入ってて、最後「実は本物の清明だって気付いてる」設定に変えられてた.目の前で見るふくれっつらが可愛くて可愛くて.メークもいいね〜.


伊原さんはとにかくかっこよくてそして弱い邪空だった.古田さんの邪空は出門に対するあきらめと悟りがあってなお出門に向かっていくという印象でその姿が哀しくもあったけど、伊原さんの邪空はいつまでももがいてあがいて出門と対峙してるんだね.見た目かっこいいしクールなヒーロー風でもあった.


あとね、江戸炎上時の照明がすっごく幻想的で、花道で芝居してるにもかかわらず無人の舞台に見入ってしまった.波のように揺れるレーザーの上をCO2が雲のように流れてるの.上から見てるとこの効果はわからなかった.これは一見の価値はあり!


個人的には阿修羅天海さんの踊りに見惚れてる目の端にフレームインしてきた夏木さんの踊りに笑いのスイッチが入りそうで参った.あれ、まともに見てたら絶対噴き出したね.そんなシーンじゃ全然ないのに.なんで躍ってんのよ、意味わかんない.


ラストの阿修羅と出門の立ち回りは楽しそうに見えて正解なのね.2人は幸せなんだなあって思ったよ.天海さん、欲を言えばここの立ち回りをもう少し殺陣っぽくしてほしいなあ.なんかダンスしてるふうにしか見えないんだよね.


あ、あと後方で見るのと前方で見るのとでは台詞の通りが全然違った.遠くで見るとマイク越しの声が強調されて、下手っぴな人とそうでない人の差が激しいんだ.前方で見るとその差が縮まってアラがみえにくいから後方で見たときは喚いてるだけにしか聞こえなかったシーンも意外と平気だった.


終演後はそのまま帰るのはあまりに寂しいので近所のデニーズで1時間ばかりMIHOっちと感想を言い合う.今回比較的MIHOっちとはツボが同じだった模様.やっぱねえ、なんだかんだと文句言いつつも新感線にはくだらないほどの濃さを求めてしまうんだよなあ.


ツバキのシーンの手直しが全て良い効果を出してたが一番印象的.これまでは阿修羅に転生しちゃうほどツバキと出門の間につながりが見えなかったんだよね.そこんとこが腑に落ちやすくなってた.
殺陣の迫力ではアテルイのほうがあったかな.
じゅんさんのシーンは物凄いことになってた.出門を引き止めるときにこれまでも「デモン!」(←そのまま)、「アシモ!」「アオヒゲ!」など言いたい放題だったけど、この日は「I,Z,U…」とYMCAのような振りをつけつつアルファベットを並べた後に「M!」「M!」と叫んでて、染五郎が不思議そうに「M???」って聞いたら「待て!」だって.あまりの脱力ギャグにその後しばらく復活できない染がおかしくてこっちまで笑ってしまった.